2023年2月19日日曜日

映画「バビロン」

 Babylon

「バビロン」は古代都市バビロンのように、映画が栄華を極めていた時代のハリウッドへのオマージュのような映画だ。20 世紀初めに映画会社が、広大な土地があり、雨が降らず野外ロケに適したカリフォルニアに映画スタジオを次々に作ってできたのが「ハリウッド」の始まりだった。当時の映画は、下層階級の人々向けに、見世物小屋で演芸などの合間に見せる ”見世物” で、俳優や監督など作る側も、金儲けしか考えない無教養でいかがわしい人間たちだった。彼らが連夜繰り広げる狂気の乱痴気パーティー場面が映画の見せ場のひとつになっている。


「バビロン」はそのような時代に、映画で一旗あげようといういう夢を持ってハリウッドにやってきた若者たちを主人公にしている。女優になりたくて田舎から出てきた無知な女の子がひよんなことから大スターになってしまう。また、映画を作りたいという野心でメキシコから移民してきた青年が偶然の幸運に恵まれてプロデューサーに出世してしまう。

しかしやがて、トーキー時代になると映画は一変する。俳優はセリフをしゃべらざるを得なくなり、演技の仕方が根本的に変わってしまい、今までの人気スターは対応できず、落ちぶれていく。また映画自体もたんなる見世物小屋の出し物ではなくなり、豪華な劇場で上映される芸術になっていく。観客はドレスアップして映画を観にいく上品な人たちになり、俳優も監督も知的な芸術家に変わっていく。

かつての栄華が終わり、「バビロン」の人気スターたちは、酒やギャンブルに溺れるようになり、悲劇的な結末を迎える。


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