2022年9月26日月曜日

アトウッドの「侍女の物語」

「THE HANDMAID'S TALE」 

この世界的ベストセラーをもう一度読み返したが、やはりすごい小説だ。

架空の国「ギレアド」を舞台とした近未来の物語で、キリスト教原理主義者がクーデターを起こし、政権を奪取する。出生率の低下に危機感を抱いている彼らは、すべての女性から仕事と財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」としてエリート層の男の邸宅に派遣する。「侍女」たちはあくまで出産の道具だ。主人公の女性の名は「オブフレッド」だが、「オブ」は「OF」 で、派遣先の男の名「フレッド」の所有物であることを表している。

未来の物語として書いているが、ファンタジーではなく、現実に起きていることだと作者自身が語っている。アメリカでは中絶を制限する動きが根強く、それを主導するキリスト教原理主義者たちの支持でトランプ大統領が生まれた。それに対して女性の人権を求める運動も活発化し、社会の大きな分裂を生んでいる。

女性の権利を訴える抗議運動では、赤いローブと白い帽子のコスチュームでデモを行ったりする。これは小説の主人公の「侍女」の服装で、この小説の影響力の強さを物語っている。なお 15 年ぶりに「誓願」という題名で続編が刊行された。それはこれから読む。


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