「Seeing Sound, Listening Color」
神奈川県立近代美術館(葉山館)でやっている『音をみる、色をきく 美術が奏でる音楽』展( 12 / 25 で終了 )は、音楽がテーマの絵画の特集。しかし、楽器を演奏する人、的な絵が多く、本来の「音楽を奏でる絵画」は少なかった。そこで、展示の無かった「音楽的絵画」をあげてみた。(大学入試の時の実技試験課題で、ドヴォルザークの「新世界」を聴かせて、その印象を描け、というのが出たのを思い出した。)
パウル・クレー 「木のリズム」
クレーの絵は多くが音楽的だが、この作品は題名通り、ここちいい音のリズムを感じる。
パウル・クレー 「ポリフォニー」
ポリフォニーというとおり、バロック音楽的な単調で静かな音が聞こえてくるようだ。
ワシリー・カンディンスキー 「音の響き合い」
様々な図形が「響き合い」をしている。カンディンスキーはシェーンベルクと交流があり、現代音楽に関心があったという。だから音楽的イメージを絵画化した作品が多い。題名にも「インプロビゼーション」や「コンポジション」など音楽用語をよく使っている。なお「コンポジション」は「作曲」の意味と同時に「構成」の意味もあるから、写実ではなく構成する絵画には、もともと「作曲」に通じるものがあるのだろう。
ワシリー・カンディンスキー 「コンポジション7」
色が激しくぶつかりあって不協和音のようだ。それとも不協和音に聞こえるシェーンベルクの無調音楽のイメージだろうか。視覚と聴覚の共感覚をとても感じる作品だ。
ワシリー・カンディンスキー 「コンポジション8」
円や直線などの幾何学的図形だけで構成している。カンディンスキーは著書「点・線・面」の中で、図形要素を使って、音楽のリズムや音色を絵に翻訳する方法を理論化している。これはその実践作品なのだろう。
ルイージ・ルッソロ 「反乱」
作曲家でもあった未来派のルッソロの絵は音楽そのもの。「既成秩序を破壊する騒音音楽」を提唱して音楽活動を行った。だから絵の題名も「反乱」なのだろうが、そんな激しさがある。
ピエト・モンドリアン「ブロードウェーのブギウギ」
厳格なモンドリアンだが、これはまさに「ブギウギ」のようなポピュラー音楽的な(?)絵だ。