Trompe l'oeil
壁に本物そっくりのぶどうの絵を描いておいたら鳥が飛んできて壁にぶつかった、というギリシャ時代の話があるそうで、目をあざむくくらい本物そっくりの絵を「だまし絵」という。そういう写実性・迫真性のある絵をフランス語で「トロンプ・ルイユ」という。
「だまし絵の帝王」といわれるヘイスブレヒツのこの絵は、壁のくぼみ(建築用語でいう壁龕)の中に物がある静物画を描いている。この絵を壁にかけておく(額縁なしで)と、本当に壁龕があってそこに物が置かれているように見えるだろう。
このように絵のある場所との空間的連続性を描くとだましやすい。だから建築の壁画にだまし絵がたくさんある。これは柱とバルコニーがあり、遠くに風景が見えるが、実際は壁に描かれている。バルコニーへ出ようとするとガンと壁にぶつかる(?)かもしれない。
これがエスカレートして、建築そのものをだまし絵的に作ってしまうことが行われた。いわば「だまし建築」で、とても面白い。この柱廊は、天井や壁を傾けて向こうにいくほど狭くしている。奥行きは9mくらいしかないが、4倍くらい長く見えるという。遠近法の視覚心理を悪用(?)して人をだましている。うっかり3人くらいで並んで入ると、向こうの出口では1人しか通れないことになる。
ゴミ
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