2018年7月1日日曜日

「ヴァニタス」(空虚)という静物画

 Vanitas

前回書いたが、17世紀のオランダで人生の虚しさや虚栄の無意味さを描く寓意的な静物画が大流行した。頭蓋骨や枯れかけの花など死や空虚の象徴となるものをかき集めて、画面いっぱいに列挙した絵だった。「ヴァニタス」(空虚)という絵のジャンルまででき、現在まで影響を与えてきた。(写真:「芸術の象徴」より)


英国王が斬首された歴史テーマにした絵で、倉庫の中で埃をかぶったガラクタのような王冠やボロボロの本や壊れかけた道具などを使って、権力の虚しさを描いている。

一見無関係な雑多なものが並んでいるが、すべて腐りやすい食べものや枯れやすい花などの束の間の物で、豊かな生活や物の豊富さの「虚栄」を表現している。

頭蓋骨や、時の経過を示す時計や、ボロボロの本などを並べるのはヴァニタスの定番モチーフだった。やがて蜘蛛の巣が張り朽ちていくという、人生のはかなさを描いている。

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