絵とはいわば夢を描くものだから、いい夢の絵もあれば悪い夢の絵もある。もっぱら悪夢のほうを描いた代表の3人。
ロドルフ・ブレダンの「善きソマリア人」。一見わかりにくいが拡大して見ると、ラクダの首と人間の首が肉食植物に食われて、その毒液で溶けているという恐ろしい絵。ブレダンはひたすら森の中を歩きまわり、細かい葉に至るまで細密なリアリズムで描写したという。その体験が草の陰で増殖する異様な生命体という恐ろしい空想に結びついていったそうだ。
ウィリアム・ブレイクは夢からインスピレーションを得て描いたことで有名。実在する自然を描いても何も見えてくることはなく、夢の中で霊と交感することによってはじめて真実を見ることができる、と言っていたという。この「巨大な赤いドラゴンと太陽に包まれた女性」のように不可解で不気味な絵が多い。
18 世紀スイスのフュースリは恐怖や妄執といった情念を夢という形で描いた。この「夢魔」は馬の怪物に襲われる悪夢を見ている若い女性を描いている。もっとも図像学的には馬は「好色」のアイコンだそうなので、もしかしたらエロチックな夢なのかもしれない。
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