2017年1月26日木曜日

絵画と「テーブル」

"Table"

「テーブル」の意味について書いた高山宏という人の本がとても面白い。
(「終末のオルガノン」作品社、1994 )

「テーブル」はその周りに座る人たちの関係を秩序づける。食事場面での夫婦や親子といった家族秩序や、座る席順が地位という社会秩序を表す(日本の上座 / 下座も同じ)など。そういう意味の表現として、テーブルはたびたび絵画に登場する。そういえば「ちゃぶ台返し」という日本語があるが、ちゃぶ台(=テーブル)をひっくり返すことが既存の秩序を壊すことを表している。

ほとんどの静物画のモチーフは「テーブル」の上に置かれているが、それによってバラバラだった物どうしに関係ができて、絵に秩序が生まれる。

モノとしての「テーブル」以外にも、データを見える化した「図表」も英語では「テーブル」だし、本の内容が一目でわかる「目次」も「テーブル」。テーブルと同じ語源の「タブロー」はスケッチと違い、何らかの主張をする絵画の意味。またテーブルと類語の「タブレット」は、もとは絵を描く板のことだったが、今では絵を表示する情報端末の意味で使われる。・・・といった具合に「テーブル=物事の秩序化」という切り口が面白い。

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