この絵は、19世紀アメリカで主流だったスタイルの風景画で、「ピクチャレスク絵画」と呼ばれた。ピクチャレスクとは「絵のように美しい風景」という意味と、「絵のように美しい風景を描いた絵」という意味の両方がある。画家たちは、アメリカの大自然をモチーフにして、巨大なキャンバスに「美しく崇高な風景」を描いた。
これらは極端な細密描写の写実的絵画だが、実際には存在しない理想的な「絵のように美しい風景」(=ピクチャレスク)を頭のなかで作り上げ、それを絵にしていたという。その際使われたのが写真で、あちこちで撮ってきた複数の写真をアトリエの中で組合わせながら、風景を作っていったという。「picture」を辞書で引くと「絵」と「写真」のふたつの意味があるから、「絵のような写真」や「写真のような絵」が自然に生まれるのだろう。
(「アメリカンリアリズムの系譜」より)
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