2014年8月4日月曜日

絵と写真の関係(1)



このふたつ、一見、絵かと思うが、実際は写真で、20世紀前半のアメリカで活躍した写真家アルフレッド • スティーグリッツとその仲間の作品。大都会ニューヨークの街をモチーフにして、雪 • 雨 • 霧 などの自然現象を使って詩情たっぷりの写真を撮った。写真を絵画とならぶ芸術のメディアにした先駆者と言われている。


見えた風景をそのまま撮影するのではなく、あらかじめ理想的な情景を頭のなかでイメージしておいて、風景がそのとおりになるまでカメラを持って、何時間もその場で待ち続けたという。霧に 煙ったような雰囲気、光と影のコントラストの美しさ、建物と自然の対比、などが彼の写真の美の基準になっているが、これらは絵画の美の基準と変わらない。そのような絵画的な写真を彼は「ピクチャレスクな写真」という言葉で言い表している。

「ピクチャレスク」という言葉自体は昔からあって、「絵のように美しい風景」または、そのような美しい風景を描いた絵を指す。それを、記録の手段であった写真の世界に持ち込むことで、作者の内面のイメージを表現する手段に変えたのだ。

            (「アメリカンリアリズムの系譜」より)


















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