2014年7月9日水曜日

ワイエスを見に福島へ

日本の公的施設としては最大級のワイエスコレクションのある福島県立美術館を初めて訪れた。今回展示されていたワイエス作品はこの4点のみだったが、ベン • シャーンなどワイエス以外のアメリカ絵画も展示されている。ワイエスの4点は水彩画だが、透明水彩ではなく、ガッシュのような不透明水彩で、絵の密度がとても濃い。

                                              「松ぼっくり男爵」1976年 ボード・テンペラ
この絵は有名な作品のひとつ。隣家のドイツ人のカーナーさんが第一次世界戦争で使っていたヘルメットを、奥さんが松ぼっくりを拾う入れ物にしていたのを見て描いた。ヘルメットと松ぼっくりの精密描写がすごい。

   「そよ風」1978年 紙・水彩
ワイエス独特の構図の面白さ。正方形の画面の右端に人物を置き、背後にがらんとした室内空間を広々と取っている。窓からの風でなびく髪の毛の一本一本までが描かれている。光と影のコントラストの作り方が巧妙。

「冬の水車小屋」1978年 紙・水彩
ワイエスは雪の景色もたくさん描いているが、その一枚。風の吹きすさぶ寒々した
雪景色の雰囲気を表現するのがとてもうまい。


「農場にて」1988年 紙・水彩
なんでもない風景を絵にしてしまう構成力がすごいと思う。影の暗さを思いっきり強くして、光の当たったところとのコントラストで画面構成をしている。日本でもよくこんな小屋を見かけるが、こんなふうには描けない。

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