2015年6月3日水曜日

閑人アーカイブ(4)「夏の風景」

暑い夏の日の空気感。 





房総の田舎で見かけた製材所。むんむんするような真夏日。明暗コントラストが強烈。






ローカル線の無人駅。日本の夏は、湿気のせいで遠景がぼやける。乾燥している南欧あたりだったら遠くまでくっきり見えているだろう。




上海の裏通り。レンガの建物におしゃれな店が並ぶ。暑いが、日陰に入るとひんやりする。そんな夏の空気感。

2015年5月27日水曜日

閑人アーカイブ(3)「壊れた物たち」

廃屋や廃船は、人工物が自然物へ還っていくというはかなさの魅力と、幾何学的だった形が崩れつつある造形的な面白さがある。





北海道で見つけた廃屋。水産加工場だったらしい。雲間から光が射し込んでドラマチックな光景だった。






残雪の原野の廃屋。ぽつんとある寂しさ感を出すために、空を広くとる。






見事な廃船。壊れ方がじつにいい。荒涼感たっぷりの冬の北海道にぴったり合っている。

2015年5月21日木曜日

閑人アーカイブ(2)「水たまり」

田舎道の雨の水たまりには、なにか懐かしさを感じさせられる。





霞ヶ浦は、だだっ広いだけで何もない。雨があがって陽がさしてきた。水たまりに雲が写り、もうひとつの小さい空が見えていた。





秋の北海道 大沼公園。雨で水浸しの林道に光が反射して面白い造形ができていた。

2015年5月14日木曜日

閑人アーカイブ(1)「朝のひかり」

日が昇り、朝日が柔らかく輝く。「Softly, as in a Morning Sunrise」の歌のように • • •






北海道 尻別の川のほとり。夏の早朝で濃い霧がかかっている。ぼんやりした太陽が水面に反射して、太陽がふたつ見えるのが幻想的だった。






印旛沼の夏の朝。空も水も柔らかいオレンジ色にそまる。






あるリゾート地の森で出会った朝日。ちょっとメルヘンチックな風景。


2015年5月6日水曜日

ギャラリー閑人(7)「雨の風景」展

降りしきる雨、小雨、雨模様、通り雨、雨あがり、など雨のいろいろな表情を描いた作品を集めてみました。





降りしきる雨。遠景はかすんで色がなくなり水墨画のような白黒モノトーンだけ。映画のいちシーンのようです。
(フレデリック • ウォン)





小雨。雨の日は明暗のコントラストも色のコントラストも弱くなる。きれいなグレイッシュ色だけで描いています。
(ケン • ハワード)





雨模様。雨雲があらわれ、遠くは降りはじめて海がかすんでいる。近くはまだ少し明るい。天気の変わり目の雰囲気をとらえています。
(トレバー • チェンバレン)







通り雨。雨がやんで、道路はまだ濡れているが、明るい光がさしはじめた。雨のあとは空気が澄んでいる。そんな空気感を感じるすがすがしい絵です。
(トレバー • チェンバレン) 




雨あがり。雨が弱まって、薄日が射してきた。濡れている道路に光が反射する。こういうシーンは、ほんの一瞬で終わってしまう。
(斎藤共永)

2015年4月30日木曜日

ギャラリー閑人(6)      「warm light cool shadows」展

光は暖色、陰は寒色、という絵の原則。絵が活き活きしてきます。昔この言葉を教わったときは「目からうろこ」でした。





フランク • ベンソン
直射日光を受けている背中の光は暖色(warm light)に。日の当たっていない胸や肩の陰は寒色(cool shadows)で描かれています。同じドレスの白い色が光や陰の影響を受けてさまざまに変化しています。





ルノワール
色の見え方が光の影響で様々に変化することを発見したのは、外光のもとで描いた印象派の人たちです。この絵は木漏れ日でできた肌の陰影が青く描かれて、そこだけ見ると、まるで入れ墨をしているかのようですが、全体として見ると不自然ではありません。






ゴッホ
ゴッホの顔は、明部がピンク、暗部が緑ですが、このような光と色の関係が分かっていなかった時代は、顔は固有色である肌色で描くのが当たり前でした。光の魔術師といわれるフェルメールでも、顔を肌色の明暗だけで描いています。




トレバー • チェンバレン
日当たりは暖色、日陰は寒色の差がはっきりしています。暖かい陽の光と木陰のひんやりする涼しさ、といった空気感が伝わってきます。






ブライアン • ネハー
「warm light cool shadows」と対で「cool light warm shadows」もあります。主に人工光のもとで描く場合です。この絵で、顔の明るい側は青白いのに対して、暗い側は赤っぽい暖色になっています。


2015年4月23日木曜日

ギャラリー閑人の「逆光の魅力」展

ケン • ハワード(Ken Howard) というイギリスの画家は、作品のほぼ 100% を逆光(仏語で「contre-jour」)で描いている。じつに魅力的な絵です。
(図版引用:「Ken Howard A personal view, inspired by light」より)






逆光の効果で、雨に濡れた道路が光って、人物は暗いシルエットで浮かびあがっている。雨の日の空気感が伝わってきます。











窓からの逆光で人体やテーブルなどに強いハイライトが当たっています。画面じゅうにちりばめられた光のきらめきが美しい。












人体の輪郭だけが細く光っている。全体が陰になり明暗差が少ないが、ウォームグレイとクールグレイが微妙に組み合わされていて、とてもカラフルです。





中東の風景でしょうか、強烈な太陽光が道路を照らしていて、強いコントラストで人物が浮かびあがっています。スカーフが赤く透けているのが印象的ですが、これも逆光の効果。






この絵はとくに素晴らしい。着衣や壁などすべてが白だが、逆光のために、絵全体がグレイだけで構成されています。グレイの明暗の諧調の微妙な変化がとても美しい。