2025年11月2日日曜日

初心者向け 遠近法入門書「Pespective Made Easy」

 

「Pespective Made Easy」という本は遠近法初心者におすすめの本だ。きちんとした遠近法(透視図法=Pespective)を勉強した人には当たり前すぎることばかりだが、そうでない人には基本の基本からのわかりやすい説明で役にたつ。遠近法の理論の本ではなく、趣味で絵を描くアマチュア向けの実践的な内容だ。

遠近法に関心があるので、いろいろな本に目を通しているが、日本にはなかなかこういう親切な本がない。これは英語ではあるが簡単な文章なので問題ない。Amazon で購入できる。

              


内容の一例をあげると、街の風景を描くとき、道を歩いている人間を点景として描くことがよくある。そのとき遠近法を意識していないと、人間が宙に浮いているよう見えたり、人間の身長が不自然になったりする。そうならないために、まず「アイレベル」の水平線を描いて、それを基準にして建物も人間を描く。

複数の人間どうしの関係を示したのが下図。この場合アイレベルは、人間の胸のあたりにあるが、3人とも共通して胸のあたりをアイレベルの水平線が横切っている。だから3人ともちゃんと地面に足をつけて立っているように見えて、また遠近にかかわらず同じ身長の人間に見える。



以上のことについて、お手本のような絵がある。印象派の巨匠カイユボットのパリの雨の街角を描いた絵で、たくさんの人が道を行き交っている。この絵を調べる(下図)と、遠近法が驚異的に正確なことがわかる。遠くの人も近くの人も、全員の頭の位置が見事に共通のアイレベルの線(赤線)に乗っている。そして中央で道を横切っている2人の人物の消失点(黒丸)はぴったりアイレベルの上に乗っている。