2025年11月10日月曜日

水彩画の始祖 トーマス・ガーティン

Thomas Girtin

水彩画発祥の地はイギリスだが、その始祖は、ターナーとガーティンの2人だった。ターナーは有名だが、ガーティンのほうは若くして死んでしまったためかあまり有名でない。


これは、ガーティンの4大作品のひとつ「河岸の眺望」だが素晴らしい絵だ。(画像は「英国の水彩画」より。ネットでカラー画像を探したが、見つからなかった)イギリスの平和で静かな田園風景を詩情豊かに描いている。

この特徴は、広々とした空間の広大さだ。やや高いところに視点を置くことで、遠くの地平線まで見渡すことができる。前景から地平線までの空間を川や草原などの水平線要素で構成している。そしてむこうの山のふもとあたりでから立ちのぼる白い煙が垂直線要素になっている。この組み合わせが空間の広がりを強調している。

色彩的にも、水彩の特徴である透明性を活かした「重色塗り」の技法を始めたのもガーティンだった。十分に水で溶いた薄い絵の具で描き、その上にさらに別の色、または濃度を強めた同系色を重ねる。それによって絵に深みと落ち着きをあたえる。

この伝統が現在でもイギリスの水彩画に受け継がれている。前回書いたトレバー・チェンバレンなどのウェット・イン・ウェットの技法などもそのひとつだ。


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