2024年8月16日金曜日

日本の観光業がダメなわけ

 

国税庁が発表した従業員の給与が最も低い業界は「宿泊業・飲食サービス業」だった。円安の影響で外国人観光客が増えて見かけは潤っているように見えるが、実態は相変わらず、この業界の生産性の低いことを表している。

日本の観光業界の振興策を政府に提言しているイギリス人の経済アナリストのデービッド・アトキンソン氏は、以下のように指摘している。

観光業が成り立つ国の条件として「自然」「気候」「文化」「食」の4つだが、このすべてを満たしている日本は世界でもまれな国だという。それにもかかわらず、日本はその潜在能力を活かしていないと指摘している。各国の観光ビジネスの GDP に占める割合は、世界平均が 1.61% だが、日本はわずか 0.41% という。日本の観光業は世界平均の4分の1しか稼いでいないことになる。

同氏はその原因を挙げているが、それは観光業界自身の怠慢によるという。小さな例では、日本のホテルや旅館はチェックインが3時以降で、チェックアウトは 10 時までと決まっているが、こんなのは日本だけだという。そういえば思い出すのは、ホテルや旅館の食事が日本中どこへ行っても同じで画一的なことだ。品数の多さを競って、土地の名物を提供しようなどという発想は全くない。

そのような観光客の多様なニーズに応えようとしないことが、観光業の生産性の低さの原因になっているという。魅力的な観光地になる可能性を持っている場所を新たな観光資源として開拓しようとしない業界の思考停止にあるという。個人的経験としても例えば、北海道は夏より冬の方が断然魅力的だと思うが、「るるぶ」のような旅行会社のガイドブックに、冬の情報はない。だから北海道という素晴らしい観光資源は半年間眠っていることになる。


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