Paintings without perspective
遠近法をベースにした「透視図」的な絵画が普通だが、そうではなく、意図的に図面的な「投影図」で描いた絵画がけっこうある。エドワード・ホッパーの「日曜日の朝」などは典型で、建物が水平線と垂直線だけで描かれている。真横からの光で道路上の影も水平になっている。遠近法がない分、建物のプロポーションを実物どうりに描けるので、建物を即物的に感じさせることができる。
人物画での例として、ホイッスラーの有名な「母の肖像」がある。カーテンや額絵や壁などがすべてが垂直・水平で、遠近法的な空間の奥行きがない。人物も陰影がなく、平面的に描かれていて、平面構成のパーツのひとつとして扱われている。副題が「灰色と黒のアレンジメント」であることからも、モンドリアンに通じるような、構成が意図であることがわかる。
静物画では、モランディが代表的だろう。容器を横一列で並べて、それをほぼ真横から見ている。動きや変化がない静的な構図によって、絵画の定石とされてきた空間感や立体感や陰影などを排除して平面構成の絵になっている。
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