2019年6月18日火曜日

「江戸の凸凹」展の「近像型構図」

Exhibition "Walking the hills and valleys of Edo"

「江戸の凸凹」展を見ていると、こんな絵にとくに目を引かれる。風景の手前に大きく物を配した構図の作品が数多くあり、下は中でも極端な例。(太田記念美術館、~ 6 / 26 )


こういう浮世絵独特の構図は「近像型構図」と呼ばれる。西洋の線遠近法とは違うやり方の、遠近感を表現する方法だった。浮世絵が西洋絵画に与えた影響はいろいろあるが、この構図はその一つだった。今回あった広重の「鉄砲洲」は船の帆柱が画面を縦に横切っているが、モネの「ポプラ並木」はその影響を受けた例。風景の中から幾何学的図形要素を抽出して手前に大きく浮かび上がらせること、それを画面フレームで途中で断ち切ることで遠景との距離感を強調すること、そういう広重のエッセンスがモネの絵に盛り込まれている。

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