2013年11月21日木曜日

映画「オランダの光」

10年くらい前の映画だが、その存在に気がつき、今回初めて観た。17世紀のオランダ絵画の黄金期の絵を「光」との関係で科学的に分析するドキュメンタリー。観ていて「なるほど、そうだったのか」の連続だった。
オランダの地形と気候によって生まれる独特の光がその絵画を生んだという。オランダの国土のかなりの面積を占めるアイセル湖という広大な湖に太陽の光が当たり、その反射光が雲を照らす。その光が再び地上にもどってくるその過程で、柔らかで透明感のある微妙なニュアンスの光になる。そのことを、科学実験や、1年間の風景の変化の定点カメラによる撮影などによって検証している。
その結果を実際の絵画作品と照らし合わせながら、いかにオランダ独特の光が絵画に影響を与えているかを教えてくれる。映画で、フェルメールをはじめ、たくさんの絵画が登場する(下図はその一例)。これらは風景を描いているというより、光を描いていると言ってもいいと思う。それはオランダの、山がなく平坦で、地平線まで何も無いという地形も影響していて、関心は空と雲に向かう。だから、どの絵も地平線が画面の下のほうに置かれ、大きな面積を占める空の微妙な表情を捉えようとしている。
映画では、国や土地によって「光」はみな違うが、その違いがそれぞれ独自の絵画と、ひいては文化を生み出していて、それが現代絵画にまで続いていると結論づけている。


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