前回、果物の絵をアップしましたが、その制作プロセスを記録してあったので、こちらも一応載せておこうと思います。やりかたは普通です。
おしゃれなガラス器を手に入れたので、秋の果物を乗せてモチーフに。電灯は消し、窓のカーテンを一カ所だけ開けて真横から光がくるようにセッティングすると明暗差がはっきりできて、描きやすい。
パステル用 Canson 紙を水張りして、鉛筆でデッサンをする。特にこのような楕円の多い静物ではパースの狂いは命とりになるので慎重に描きます。そのうえにモノクロの水彩で軽くトーンをつける。
さらに水彩でモノトーンの下塗りをする。これもパステルでやる人が多いが、色が混じるのがきらいで、いつも水彩かアクリルでやっている。いずれにしても、モノトーンで明暗を決めておくのは、後の段階のためぜひ必要です。
パステルで色を乗せていく。下塗りの色と同じ明度の色を選んで描く。そのことで固有色に目が惑わされて明暗が狂うのを防げます。100 ~ 200色を使うパステルなので、下塗りのガイドがないと収拾がつかなくなってしまいます。
パステルは粉なので、パサパサした埃っぽい感じになりやすい。しっとり感をだすのに苦労します。材質感、光と反射、空間の雰囲気、などを意識しながら描いていく。ディテールはパステル鉛筆を使ってタイトに仕上げます。
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2015年10月16日金曜日
2015年10月14日水曜日
2015年10月4日日曜日
「風景画の誕生」展が面白い
渋谷 Bunkamura ザ • ミュージアムで開催中(9/9〜12/7)
もともと絵画とはイコール宗教や神話の物語を描くもので、風景はその背景として描く添え物にすぎなかったのですが、17世紀になってやっと「風景画」というジャンルが生まれ、自立した絵画になったのでした。この展覧会は2部構成で、風景画が「誕生するまで」と「誕生してから」の流れをわかりやすく見せています。
例えばこのふたつはともに宗教画の定番である聖母子像ですが、描かれた年代は100年のひらきがあります。左(16世紀)は窓の外に風景がおまけのように小さく描かれていて、演劇舞台の書き割りのようです。右(17世紀)では面積的にも人間は小さくなり、逆に風景の比重が大きくなってきています。近景から遠景へという空間意識も生まれています。
やがて主題自体も宗教や神話から離れていきます。左の絵では、描かれている人間は普通の庶民であり、神話のような物語性はなくなっています。右ではもはや絵の中心は完全に風景であり、人間は小さい点景でしかありません。風景画の誕生直前です。
そしてついに17世紀のオランダで風景画が誕生します。その始祖と言われるのが有名なロイスダールですが、本展では左の作品(1675年前後)が出展されています。人間は完全に画面から消えて、風景だけを描いています。右の絵は同じころのホイエンの作品で、空の美しさを描いた、今日と変わらない風景画です。
以上、おおざっぱな紹介ですが、キュレーションの勝利のような面白い企画展でした。
もともと絵画とはイコール宗教や神話の物語を描くもので、風景はその背景として描く添え物にすぎなかったのですが、17世紀になってやっと「風景画」というジャンルが生まれ、自立した絵画になったのでした。この展覧会は2部構成で、風景画が「誕生するまで」と「誕生してから」の流れをわかりやすく見せています。
例えばこのふたつはともに宗教画の定番である聖母子像ですが、描かれた年代は100年のひらきがあります。左(16世紀)は窓の外に風景がおまけのように小さく描かれていて、演劇舞台の書き割りのようです。右(17世紀)では面積的にも人間は小さくなり、逆に風景の比重が大きくなってきています。近景から遠景へという空間意識も生まれています。
やがて主題自体も宗教や神話から離れていきます。左の絵では、描かれている人間は普通の庶民であり、神話のような物語性はなくなっています。右ではもはや絵の中心は完全に風景であり、人間は小さい点景でしかありません。風景画の誕生直前です。
そしてついに17世紀のオランダで風景画が誕生します。その始祖と言われるのが有名なロイスダールですが、本展では左の作品(1675年前後)が出展されています。人間は完全に画面から消えて、風景だけを描いています。右の絵は同じころのホイエンの作品で、空の美しさを描いた、今日と変わらない風景画です。
以上、おおざっぱな紹介ですが、キュレーションの勝利のような面白い企画展でした。
↓ プロモーションビデオ
2015年9月26日土曜日
2015年9月22日火曜日
パステル画専門サイト「How to pastel」
パステル画の作品や技法を専門に紹介する「How to Pastel」というアメリカのWebサイトがあることを知りました。というのは、いきなり ”お前の作品を載せたからよろしく” という知らせがあったからです。見てみたら前に当ブログでも紹介した「廃炉幻想」という拙作が解説つきで掲載されています。すごい情報収集力で驚きました。なかなか充実したサイトなので、興味のある方は下記アドレスへどうぞ。
ここに書かれている拙作への解説文を参考までに
Tomonaga Saito, “Ruined Power Plant,” pastel on textured Canson paper (modelling paste) , 31 1/2 x 39 3/8 in (80 x 100 cm)
I was stopped in my tracks when I came across this unnerving, apocalyptic pastel with its heavy texture and its simple statement and uncluttered design. I was fascinated by the dichotomy of feeling I derived from the subject and from the style – one bringing a sense of doom and gloom, the other a delight in the colours and texture and light. There’s a story to be interpreted here. The low light source – the sun? – could reveal a metaphorical change – if it’s a setting sun then one of oncoming catastrophy, if rising, well then there’s hope after cataclysmic disaster. Are we to be disheartened by a chilling story or inspired by a hopeful one? Check here to see more of Tomonaga’s work.
2015年9月19日土曜日
閑人の ☆☆☆☆☆ 映画 「アドルフの画集」
「アドルフの画集」( 2002年、イギリス • ハンガリー • カナダ 合作 )
若いころヒトラーが画家をめざしていたことは有名ですが、なぜ彼が画家をあきらめて、政治家になったのか、という人生の分かれ道の瞬間を描いた映画です。このとき、もし彼が画家のほうを選択していたら後の歴史はどうなっただろうとつい思ってしまいます。
第一次世界大戦のドイツ敗戦直後、ヒトラーは戦場からもどり職もなく食事にも事欠いています。変革によって社会は混乱し、伝統的なドイツの価値観が失われたことに対して強い恨みをいだいています。
ヒトラーが知り合ったユダヤ人画商が経営する画廊の場面があり、当時生まれた新しい現代美術の作品がたくさん登場します。キュビズム • 抽象主義 • 未来派 • 表現主義などで、美術史的な観点で映画を観ても面白いです。例えば、政治家 • 資本家 • 娼婦などを風刺的に描くことで社会の退廃や矛盾をえぐり出した表現主義画家のゲオルグ • グロッスです。これはヒトラーに自分の絵が時代遅れと思わざるをえなくさせる強烈なパンチでした。
それでも昔ながらの絵にこだわるヒトラーは現代美術を憎み、「調和のある美だけが永遠に続く価値がある。抽象画は腐敗だ!」と叫びます。映画に登場する彼のスケッチには権威主義的な建築やナチスの制服のデザインなどがあり、後に政治家として権力を握ったときに実際に実現させていったものがすでにこの頃描かれていたことが分かります。(登場するこれらの絵は本物ないし同等のものらしいです。左上は犬の鉛筆スケッチ。右の2枚は後に建築家のアルベルト • シュペーアにこのとうりに設計させた建物)
ヒトラーは次第に絵に関して敗北感を感じるようになり、政治の力で世の中を変えようと、アジ演説にのめりこんでいきます。そんな中、ヒトラーの絵を売り出そうとしてくれるユダヤ人画商に最後の望みをたくします。しかしそのための打ち合わせをする約束の場所でヒトラーは作品を抱えて何時間も待つのですが、ついに彼は現れなかったのです。彼は画家になる夢を絶たれたことを知り絶望します。しかし画商が来なかった理由は • • • • ネタバレになるのでやめますが、結果的に、政治家としてのヒトラーが画家としてのヒトラーを自分で殺してしまったのです。
映画はここまでですが、後に政権を握ったヒトラーは、現代美術すべてをやり玉にあげ、笑いものにするために、「退廃芸術展」を大々的に開きます。印象派でさえも弾圧の対象になったのですが、唯一、公認美術とされたのが、昔ながらの写実絵画でした。こうして彼は若いころの恨みをはらしたのです。
↓ 映画予告編
2015年9月14日月曜日
ミニギャラリー「洪水の絵」
このあいだ大雨で川が決壊して洪水になったと思ったら、今度は阿蘇山が噴火した。地震、津波、台風、洪水、噴火など自然災害のデパートのような日本は一年中大忙しだが、こんな国は他にはないだろう。でも不思議と日本人はそれらを、「あーあまたか」と受け流してしまうようなところがある。ところがヨーロッパでは、大災害は、神の怒りにふれて人間が滅び、この世が終わるという黙示録的(Apocalyptic)世界観と結びつく。そのことが絵画をはじめ芸術作品に現れる。とくに洪水は「この世の終わり」を表現する恐ろしいものとして描かれてきた。
シスレー 「ポール • マルリの洪水と小舟」
この作品だけは例外で、のどかな洪水風景なのは印象派の絵だから。レストランが水没。ボートで人が近づいている。悲劇的な雰囲気はまったくなく、洪水を湖とまったく同じように美しく描いている。
フランシス • ダンビー 「大洪水」
教えに背き悪をする人間たちを神が怒って大洪水を起こして滅ぼした、というノアの方舟の伝説の絵は多い。これは人がおぼれている光景をまるで報道写真のように描いている。
ジョン • マーチン 「大洪水」
洪水伝説を背景にして、この世の終わりと神への怖れを描いた内省的な絵。マーチンは噴火、火事、戦争、など恐ろしい「世界の終末」の絵を描いたが、これも恐怖の洪水だ。
レオナルド • ダ • ヴィンチ 「世界の終わり」
ダヴィンチも世界の終末を信じていた。大洪水をたくさん描いているが、これはそのひとつ「世界の終わり」。科学者でもあった彼は水流を観察してスケッチし、それを「洪水の恐怖」の表現へと発展させた。
この作品だけは例外で、のどかな洪水風景なのは印象派の絵だから。レストランが水没。ボートで人が近づいている。悲劇的な雰囲気はまったくなく、洪水を湖とまったく同じように美しく描いている。
フランシス • ダンビー 「大洪水」
教えに背き悪をする人間たちを神が怒って大洪水を起こして滅ぼした、というノアの方舟の伝説の絵は多い。これは人がおぼれている光景をまるで報道写真のように描いている。
洪水伝説を背景にして、この世の終わりと神への怖れを描いた内省的な絵。マーチンは噴火、火事、戦争、など恐ろしい「世界の終末」の絵を描いたが、これも恐怖の洪水だ。
レオナルド • ダ • ヴィンチ 「世界の終わり」
ダヴィンチも世界の終末を信じていた。大洪水をたくさん描いているが、これはそのひとつ「世界の終わり」。科学者でもあった彼は水流を観察してスケッチし、それを「洪水の恐怖」の表現へと発展させた。
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