2015年9月14日月曜日

ミニギャラリー「洪水の絵」

このあいだ大雨で川が決壊して洪水になったと思ったら、今度は阿蘇山が噴火した。地震、津波、台風、洪水、噴火など自然災害のデパートのような日本は一年中大忙しだが、こんな国は他にはないだろう。でも不思議と日本人はそれらを、「あーあまたか」と受け流してしまうようなところがある。ところがヨーロッパでは、大災害は、神の怒りにふれて人間が滅び、この世が終わるという黙示録的(Apocalyptic)世界観と結びつく。そのことが絵画をはじめ芸術作品に現れる。とくに洪水は「この世の終わり」を表現する恐ろしいものとして描かれてきた。


シスレー 「ポール • マルリの洪水と小舟」

この作品だけは例外で、のどかな洪水風景なのは印象派の絵だから。レストランが水没。ボートで人が近づいている。悲劇的な雰囲気はまったくなく、洪水を湖とまったく同じように美しく描いている。

フランシス • ダンビー 「大洪水」

教えに背き悪をする人間たちを神が怒って大洪水を起こして滅ぼした、というノアの方舟の伝説の絵は多い。これは人がおぼれている光景をまるで報道写真のように描いている。

ジョン • マーチン 「大洪水」

洪水伝説を背景にして、この世の終わりと神への怖れを描いた内省的な絵。マーチンは噴火、火事、戦争、など恐ろしい「世界の終末」の絵を描いたが、これも恐怖の洪水だ。

レオナルド • ダ • ヴィンチ 「世界の終わり」

ダヴィンチも世界の終末を信じていた。大洪水をたくさん描いているが、これはそのひとつ「世界の終わり」。科学者でもあった彼は水流を観察してスケッチし、それを「洪水の恐怖」の表現へと発展させた。






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