2024年11月29日金曜日

映画の「省略法」

 "Omission" of movie

NETFLIX はシリーズドラマが多く、10 回連続もざらだ。視聴者を最後まで飽きさせないためにいろいろな工夫をしている。回ごとに新しい登場人物を出したり、物語を複雑化したりする。しかし長すぎて間伸びしている失敗例も多い。

改めて「映画」は、2時間の中にドラマ10 回分の内容を「凝縮」させていることがわかる。小説では人物の心理状態を説明するのに、長い文章が必要だが、映画では顔の表情のクローズアップを一瞬映すだけでいい。映画という「視覚芸術」の強みだ。連続ドラマは下手をすると、何から何まで説明して小説のようになってしまうことがある。

例えば、ある人物が事務所を出て自宅へ帰るシーンの場合、事務所のドアを閉めるカットと、自宅のドアを開けるカットをつなげるだけでいい。途中の電車や車に乗っている場面は省略する。初期の映画では、時系列通りに出来事すべてを映し続けていたが、現在では「省略」の技術が映画の重要な要素になっている。以下はその例。


男が反対側のホームに立っている女を見送っている。列車が入ってきて、女の姿が見えなくなる。しかし列車が去ると女はまだホームに立っている。彼女は列車に乗らなかったのだ。結果だけを見せて経過を省略している。こういう手法はたまに見かけるが、それに似た「ブルックリン」の例。バスがバス停に停まる。バスが去ると今までいなかった女性が立っている。家に帰るかどうか迷っていた彼女がきっぱりと決心したことを説明なしに、このワンショットだけで見事に表現している。

ヒッチコックの「サイコ」で、浴室で女性が刺殺されるシーンの例。出しっぱなしのシャワーの水と、下水に流れてゆく血だけを写している。犯人も、殺す瞬間もいっさい省略して、それを象徴する代替物で表現している。それによって恐怖感がかえって高まる。


2024年11月27日水曜日

反ワクチン運動

Anti-Vaccine movement

”またトラ” の閣僚人事が物議を醸しているが、そのひとりが厚生長官に起用されたロバート・ケネディ・ジュニアで、ケネディ元大統領の甥だ。この人は反ワクチン運動家として有名で、コロナのパンデミックの時も反ワクチン情報を SNS で発信し続けた。ワクチンに関するその情報は科学的な根拠のないいい加減なものだが、たくさんの人が信じている。

コロナワクチンを接種すると、死亡する人が多いとか、不妊になるとか、自閉症になるとか、いろんなデマ情報をバラ撒いている。イギリスのある調査会社によれば、このような SNS を通して反ワクチン運動をして大きな影響力を持つ人はわずか 12 人のインフルエンサーだという。彼ら全員が、ワクチンに代わる治療薬やサプリメントを売ることで数億円もの莫大な利益を上げている人たちで、反ワクチン運動はそのビジネスのためなのだ。ロバート・ケネディ・ジュニアもその一人で、3億円以上稼いでいるという。

日本でもコロナワクチン危険論が SNS 上で溢れている。最近は特に日本で開発された新型ワクチンが危険だと煽っている。このワクチンを日本だけがいち早く承認したのは、政府と製薬会社が結託した陰謀だと主張する。ところがアメリカと同じで、そのもともとの発信元は「反ワクチンビジネス」で儲けている人たちだ。


2024年11月25日月曜日

古い機械

 Old machine

重要文化財、氷川丸のエンジンルーム

1918 年製の技術遺産、造船所で使われていたエア・コンプレッサー

工事現場の錆びたパワーシャベル

2024年11月23日土曜日

廃れたものの風景

Abandoned

廃屋になった漁師小屋(北海道 日高地方)

大破した漁船(オホーツク)

石切り場の廃トラック(宇都宮  大谷石採石場跡)

残雪、元水産加工場の廃屋(北海道 日高地方)

2024年11月21日木曜日

雨の風景、霧の風景

 Rainy day,  Foggy day


水浸しになった森の林道(大沼公園)

晩秋の冷雨(印旛沼)

郊外の夕方の雨(幕張)

朝霧の川のほとり(シリベツ川)

高原の朝霧(伊豆高原)

夏の早朝、朝もやの森(ニセコ)

2024年11月19日火曜日

ホロドモールと映画「赤い闇」

Holodomor

先日(11 / 16)のNHKニュース で、東京の教会で在日ウクライナ人たちによる「ホロドモール追悼式」を報じていた。

「ホロドモール」とは 90 年前、ウクライナがソ連によって穀物を収奪されて、大飢饉におちいった事件だ。穀倉地帯のウクライナにもかかわらず、数百万人のウクライナ人が餓死した。当時のソ連はスターリンの農業集団化政策が失敗していたことが背景にある。だから「ホロドモール」はソ連が人為的に起こした「飢えによる虐殺」といわれている。今では国連決議で、ジェノサイド(民族大量虐殺)だったと認定されている。

ソ連(今のロシアも)は、そんな事実はないと否定していたが、情報統制の厳しいソ連支配下のウクライナに潜入取材してこの「ホロドモール」の真相を明らかにしたイギリス人の新聞記者がいた。その記事によって真実が世界中に知られるようになった。

その史実を描いたのが映画「赤い闇  スターリンの冷たい大地で」(2019 年)だ。世界恐慌だった 1930 年代、ソ連だけが経済が好調で、穀物の輸出までしていたことに記者は不審を抱き、その理由を調べるために危険をおかしてソ連支配下のウクライナに潜入する。すると街中いたる所に餓死者が倒れている。通る人たちは普通のこととして見向きもしない。調べていくとソ連兵が農家から穀物を丸ごと全部を略奪していく惨状を目にする。パン一つでさえ残らずだ。抵抗する者は捕らえてシベリア送りにする。

新聞社はこれを記事にするか躊躇する。当時の国際情勢から、政治問題化する恐れがあるからだ。しかし記者の勇気ある主張で記事になり、世界中に事実が明かされる。


現在のウクライナの戦争でも、ロシアはウクライナ経済の生命線である穀物の輸出を阻止するために、輸出ルートを爆撃している。

2024年11月17日日曜日

公募展のこと

 

公募展に参加して 18 年になる。一般応募で初めて応募したのは 2006 年だった。それから現在まで 18 年たった。振り返ってみると、会員になるまで 10 年かかっている。

一般応募4年間 → 会友5年間 → 準会員1年間 → 会員(現在まで8年間)→計 18 年間 

会員になるまで 10 年とは厳しいようだが、どの公募展でもだいたいそのくらいかかる。ハードルのひとつは作品の大きさだ。公募展の大きさ規定は、だいたいは 30 号以上〜80 号以下くらいのところが多い。ただ大きく描くだけなら簡単だが、問題は内容だ。風景スケッチ的な絵を応募規定に合わせて大きくしただけでは「タブロー」にならないから、テーマ、題材、表現技法などすべてで、絵を変えていかなければならない。それには普通 10 年くらいかかる。