2025年11月20日木曜日

静物画の巨匠シャルダンの質感表現

 Chardin

シャルダンの質感表現の見事さは静物画のお手本になる。シャルダンは、わざと質感が対照的なモチーフどうしを並べて、自分の表現力を自慢しているかのようだ。質感は、材質ごとの光の反射率によって表現できる。金属やガラスのようにツルツルしたものは強いハイライトを拾うし、木や布のようにマットなものは明暗のコントラストが弱い。その比較をしてみる。


「銀」のカップと「ホウロウ」のボウル。同じ金属どうしだが、銀のカップは反射率が高いので周囲の影響を受けやすい。だから暗い室内を反射して全体的に暗く、手前にある果物が鏡面反射している。そして直射光の当たったところだけに鋭いハイライトを生む。一方ボウルの方は反射率が低いので明暗のコントラストが弱い。


陶器の水差しとガラスのコップ。どちらも表面が平滑で硬質な物質だが、水差しは光を反射して全体的に明るい。ガラスのコップは光が透過して暗く、ハイライトだけが光る。


布とパン。ともに反射率が低いので明暗のコントラストが弱い。そばにある陶器や金属のナイフやガラスのコップと並べることで、パンと布の柔らかい質感が強調されている。


「もも」と「ぶどう」。ももは表面にうぶ毛のようなものがあり、柔らかい質感で、光を全く反射しない。それに対してぶどうは、皮がツルツルしているから一粒ごとにハイライトを拾う。

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