2025年11月23日日曜日

ディズニーアニメ「魔法使いの弟子」とAI

 The Sorcerer's Apprentice

ディズニーアニメの「魔法使いの弟子」は 80年も昔の作品とは思えないほどクオリティが高く、面白い。ストーリーはこんな感じ。

魔法使いの弟子のミッキーが、師匠が出かける間に井戸の水汲みをやっておくように言いつけられる。ところが怠け者のミッキーは楽をしようとして、師匠から教わった呪文を箒にかけて水汲みをやらせる。すると箒はひたすら水を運び続ける。家が水浸しになりそうになって慌てたミッキーは斧で箒をズタズタに切ってしまう。するとそれらの破片はすぐに普通の箒に戻ってしまい、たくさんの箒がますます大量の水を運び続ける。家中が洪水になった時、師匠が帰って来る。ミッキーは泣きついて助けを求める。すると師匠は箒の呪文を解いて洪水を止める・・・

アニメの動画(約10 分)→ https://www.youtube.com/watch?v=dmUOdvieT9E

このアニメのポイントは、ミッキーが人間の能力を超える強力な「水汲み箒」を生み出してしまったが、それを制御できず、止めることもできないということだ。このアニメについて、歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリが「NEXUS 情報の人類史」の中で、以下のような指摘をしている。

このアニメには原作があって、それは 18 世紀にゲーテが書いた詩だという。その時代は産業革命の頃であり、蒸気機関という人間の力を超える強大な力を持つ機械が発達し、やがて人間の制御がきかないくらい巨大化していった。ゲーテはそういう近代化の危険性を「水汲み箒」に託して、詩を作ったというのだ。

そして 18 世紀の蒸気機関にあたるのが 、21 世紀の今では「AI」 だとハラリは言う。「AI」は「人工知能」というとおり人間が生み出したものでありがら、人間自身が制御できないくらい強大な力を持ち始めて、人間を脅かすものになりつつある、と警告している。ちょうどミッキーが自分が生み出した「水汲み箒」を止められなかったのと同じように。


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