今日 2 / 11 は「建国記念の日」だ。「建国記念日」でなく、あいだに『の』が入った奇妙な記念日だ。どこの国にも建国記念日はある。アメリカはイギリスから独立した「独立記念日」、フランスはフランス革命の「革命記念日」、中国は毛沢東の共産主義政権成立の「国慶節」など、革命や独立の日を建国記念日にしている。だから記念日の日付ははっきりしているが、日本の場合、なんの日をもって「建国」にするか統一的な考え方がないために、とりあえず戦前の「紀元節」だった 2 / 11 にした。
戦前の「紀元節」は、神武天皇が紀元前 660 年の 2 月11日に即位したという「古事記」の記述を根拠にしていた。しかし紀元前 660 年といえば、縄文か弥生の時代で、ほとんど神話の世界だ。学術的な証拠がない「紀元節」だが、軍国主義時代に国民の愛国精神を高めるために利用された。
戦後に GHQ の命令で「紀元節」は廃止されたが、その後その復活を求める声が上がりはじめる。しかしそれに反対する層も多く、政治的対立の争点になった。その結果出来上がった妥協の産物が、「建国記念日」でなく、「建国記念の日」だ。
国によれば、この日の趣旨は、「建国を祝い、国を愛する心を養う」とされているが、その言葉どうりにする人は一人もいないだろう。
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