2025年1月9日木曜日

日鉄の USS 買収

 Nippon Steel's Attempt to acquire U.S. Steel

日本製鉄の US スチール買収が政治問題化してきた。バイデン現大統領が買収禁止を決めて、訴訟に発展している。

現在の鉄鋼業の世界シェアを調べると、1位が中国、2位がインド、3位が日本で、アメリカは 10 位内にも入っていない。かつて世界一だった USS 凋落の原因は、技術革新(イノベーション)の立ち遅れだといわれている。

これからの鉄鋼産業の最大課題は「脱 CO2 」だという。鉄鉱石と石炭を大量に排出する高炉方式から、再生可能エネルギーを使う「グリーンスチール」へ世界中が競い合っている。その点でもアメリカは遅れをとっていて、日本は優位に立っている。それが今度の日鉄の USS 買収の原因になっている。

中学生のとき学校で、地元の製鉄工場を見学したことがある。そのときのことで一つだけはっきり覚えているのが、「煙突を見てください。煙が白いですね。出ているのは水蒸気だけだからで、排出ガスから有害物質を取り除いてクリーンにしています。」と説明の人が言っていた。それに妙に感心したのだが、今になって思うと、「CO2 削減」などという言葉さえなかった 70 年も前からすでに日本は技術革新に取り組んでいたことがわかる。

USS が輝いていた 1960 年代に出した広報誌を今でも持っている。題名が「INNOVATIONS」(イノベーション)で、第1ページ目に、「USS : その大きな思いはイノベーションだ」とある。今みると皮肉だ。

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