2024年1月4日木曜日

映画「栄光への脱出」

 「Exodus」

最近の国際情勢から、昔の映画「栄光への脱出」(1960 年)を思い出して、再鑑賞した。パレスチナ問題とはそもそも何なのかは報道を見ているだけではなかなかわかりにくい。この映画は、その問題が起こり始めたまさにその時のイスラエルを舞台にしていて、パレスチナ問題がなぜ始まったかを知ることができる。

パレスチナの歴史を簡単にまとめるとこうなる。第二次世界大戦が終わるまで、現在のイスラエルとパレスチナはともにイギリスの統治下にあり、どちらも独立国ではなかった。それまでのこの地域の住民はユダヤ人もアラブ人も混在したまま平和に暮らしていて、お互いに仲が悪かったわけではない(下図:1946)

ところが戦後の1947 に、国連がパレスチナとイスラエルとの分割決議がされて、両者の間に国境が設定される。するとナチスのホロコーストの生き残りのユダヤ人がヨーロッパから大量に押し寄せてくる。そしてイスラエルに半分の土地を奪われたパレスチナ人は、周辺国へ難民となって逃れ、残りは狭い地域に押し込められることになる。そしてこれが現在の事件の原因になっている。(下図:1947)

やがて数次にわたる中東戦争のたびにイスラエルは、報復を口実に国連が決めた国境を越えて侵攻し、領土を広げてきた。(下図:1948 - 1967)

そして現在もパレスチナの領土へイスラエル人の入植が続いていて、パレスチナ領土は虫食いの状態になってしまった。このイスラエルの国際法違反をアメリカをはじめとする国際社会は黙認してきた。そのことに対するパレスチナ人の怒りが爆発したのが今回のガザ地区でのテロ事件だ。(下図:2012)


「栄光への脱出」は、上の1946 年の地図から 1947 年の地図に切り替わる直前の時点を舞台にしている。「国連で分割決議が決まりました。」というラジオ放送が流れる場面が出てくる。するといっしょに聞いていたイスラエル人と友人のパレスチナ人が顔を見合わせる。それから間もなく、両方が相手を殺しあうテロが始まる・・・


パレスチナ人の土地にユダヤ人の国を作ることを決めた西側各国は、戦争中にナチスの迫害を受けたユダヤ人に対する同情心が強かったためだとこの映画は言っている。現在の紛争でも国連がイスラエルを止めないのも、その延長なのかもしれない。

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