2014年11月14日金曜日

ギャラリー閑人の「難破船展」

たくさんの画家たちが難破船を描いてきました。難破船は、人間の悲劇や死のイメージにつながりやすいため、自身の世界観を投影するためのかっこうのモチーフだったようです。個人的な好みを基準に選んだ5作品を展示します。


 18世紀のフランスで、人気画家だったジョセフ • ヴェルネの作。嵐 • 荒れ狂う海 • 難破船というドラマチックな題材は、壮大な自然を表現するものとして好まれたそうです。
ヴェルネ「嵐の海の難破船」1772年


19世紀ドイツのフリードリッヒの絵で、氷に押しつぶされた難破船が右のほうに小さく描かれている。巨大な氷という、人間が対抗できない自然の力の過酷さを描いています。
フリードリッヒ「氷海」1823年


ご存知ターナー。怒濤渦巻く吹雪の海に船が飲み込まれようとしています。激しくうねる空と海の不気味な表現が、自然の力に対する不安と恐怖のイメージを呼び起こします。
ターナー「吹雪」1842年

現代作家のベクシンスキーの作。不気味な姿で、なぜか宙に浮いている船は墓石か棺桶のようです。彼は、死と絶望の世界をミステリアスに描いた作家です。

ベクシンスキー

残骸だけが残った難破船は現代作家クレリチの作。核戦争で滅びて人が消えた都市のような、世界の終わりの光景です。日本人は、あの大津波を連想するかもしれません。
クレリチ「太陽の舟」1976年

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