2026年8月26日水曜日

「敗北を抱きしめて」(続き)

 Embracing Defeat

一昨日、ジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」について書いた。→
https://www.blogger.com/blog/post/edit/5842824525266145803/5499197433097563952


もう少し追加をすると、この本の序文で著者は、こんなことを書いている。

「この本の目的は、世界で最も苦しい敗北をした日本の人々が、敗戦後に直面した苦難を伝えることでことであり、同時に敗戦にたいして日本人がみせた多様で、エネルギッシュで、矛盾に満ちた、素晴らしい反応を描くことである。」

「日本人にとって敗戦は、自己変革のまたとないチャンスでもあった。「よい社会」とは何なのか。この途方もない大問題が敗戦の直後から問われ始め、この国のすみずみで、男が、女が、子供までもが、この問題を真剣に考えた。そしてなんと多くの日本人が「平和」と「民主主義」の理想を真剣に考えていたことか!」 

「それは、戦勝国アメリカが改革を強要したからではなく、それをチャンスと捉えて多くの日本人が変革の筋立てを自ら前進させた。そういう国民の声を背景に、政治家や官僚は、改革を実行していき、「農地改革」「選挙制度化改革」「憲法改正」「労働法改革」「教育改革」など今日まで続く国の根幹を作っていった。」

このような状況を表している資料として同書は、当時の加藤悦郎の漫画をあげている。巨大なアメリカのハサミが日本の国民を抑圧してきた鎖を断ち切り、国民は解放の喜びにひたっている。その背後で、保守的な政治家と軍人が逃げ出している。これは終戦のわずか2ヶ月後の漫画だ。


それから80年たった今、世界の環境は激変し、日本の「国の在り方」が問われ始めているが、この本はその議論をするうえでの示唆に富んでいる。 


2026年8月25日火曜日

2026年8月24日月曜日

「敗北を抱きしめて」

 Embracing Defeat

「敗北を抱きしめて」は、歴史家ジョン・ダワーによる、敗戦直後の日本の歴史を論じた名著で、アメリカと日本の両方で大ベストセラーになり、ピュリツッア賞など多くの受賞をした。公的資料にもとづく普通の歴史書と違い、当時の日本人の苦難の生活を、雑誌、写真、漫画、流行語などの資料を使ってリアルに描き出している。本の帯に、同書における著者の歴史観が簡潔に書かれているので、以下にそのまま引用する。

『1945 年 8月、焦土と化した日本に上陸した占領軍兵士が、そこに見出したのは驚くべきことに、敗者の卑屈や憎悪ではなく、平和な世界と改革への希望に満ちた民衆の姿であった。勝者による上からの革命に、敗北を抱きしめながら民衆が力強く呼応したこの奇跡的な「敗北の物語」を、米国最高の歴史家が描く。』


同書に使われいる写真の資料は当時を経験した年代の人間には懐かしい。街中で進駐軍(当時はそう呼んでいた)のジープが走り回っていた。米軍兵士たちはガムやチョコレートを子供たちに配っていた。

校舎不足とベビーブームから青空教室が普通だった。クラスを2つに分けて、午前と午後に二度授業をする二部授業も経験した。



2026年8月23日日曜日

認知戦「現代の戦場はスマホと脳だ」

 Cognitive Warfare

SNS で毎日のように偽情報や偽画像があふれている。ほとんどが素人が作ったものだと一目でわかる。しかし外国の諜報機関による世論工作のための SNS 情報は一見して見分けがつきにくい。

最近出た「認知戦  悪意の SNS 戦略」という本は、SNS によって人の心理に影響を及ぼそうとする認知戦の実態を明らかにしている。著者はイスラエル軍で認知戦の実務経験のある専門家だ。

現代の戦争は軍事力よりも、SNS の情報発信によって敵対国民の意識に働きかけて、国を内部から分断させる「認知戦」が重視されている。この本の帯に「戦場はスマホと脳だ」とあるように、スマホとSNS を使って情報工作が行われる。

いま強力に認知戦を仕掛けているのは、世界の覇権を狙っている中国で「中国は素晴らしい国だ」と思わせる情報を世界中に発信し、何十万ものフェイクユーザーを使ってその情報を拡散させている。特に日本は最大のターゲットで、「日本は悪い国だ」というイメージを植え付ける情報を垂れ流している。情報をスマホに頼っている人、特にAI を神の声のようにありがたがる人は、その情報を間に受けて拡散に協力してくれやすい。そういう人間を中国では「役に立つ馬鹿」と呼んでいる。


2026年8月22日土曜日

「戦争の文化」

 Culture of War

戦争が終わらない今の世界情勢から、「戦争の文化」を再読した。6年前の本なので、ウクライナやイランへの言及はないが、そんな現在進行形の戦争について考えるのにも、この本は参考になる。

「真珠湾攻撃」「広島の原爆投下」「9.11テロ」「イラク戦争」の4つを事例にして、戦争がなぜ起こるかの論考をしている。自らに都合の良い思考、異論や批判の排除、過度のナショナリズム、文化的・人種的偏見、などいずれの戦争にも共通する「戦争の文化」を検証している。

例えばアメリカがイラクを先制攻撃した戦争について、このように言っている。

2003 年にアメリカがイラク戦争を始めた時の理由づけは、1942 年に太平洋戦争に突入した時の理由づけとまったくよく似ている。共通するのは「屈辱」で、必ず報復しなければならないという感情だ。アメリカ人は真珠湾の奇襲攻撃の日を「屈辱の日」と呼び、それが現在でもアメリカ人の心の中に定着している。「屈辱」を決して忘れてはならないという意味だ。

2001 年にニューヨークでイスラム教徒による同時多発テロが起きた時、アメリカ国民のほとんどが反射的に思い出したのが「真珠湾」だった。不意打ちをくらって、たくさんの犠牲者を出した「屈辱」だ。テロリストの飛行機が高層ビルに突入する衝撃的な映像は、カミカゼ特攻機がアメリカ空母に突入する映像を思い出させた。ブッシュ大統領は「今日、21世紀の真珠湾が起きた」と言って「報復」すべしという国民感情に訴えた。そしてイラクに対する先制攻撃を開始した。

しかしイラク戦争は、むき出しの軍事力さえあれば敵を打ち破れると信じてしまった結果、完全な失敗に終わった。いままたアメリカはイランに先制攻撃を仕掛けているが、今回も同じ過ちを繰り返すに違いないということがこの本から読み取れる。


2026年8月21日金曜日

シーバス・リーガルのある静物

 Chivas Regal

ガラス製品だけをモチーフにして、シーバス・リーガル(パステル)





2026年8月19日水曜日

ドキュメンタリー「100 まで生きる」

Live to 100   Secrets of the "Blue Zones" 

NETFLIXのドキュメンタリー「「100 まで生きる  ブルーゾーンと健康長寿の秘訣」が興味ぶかい。平均寿命が 100 歳くらいの世界の4つの地域について現地調査をして、長生きの秘訣を探っている。それは、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、イタリアのサルディーニア島、などの離島で、古くからの独自の食文化が守られている地域だ。

沖縄編で取り上げているのは「大宣味村」(おおぎみそん)という沖縄本島の北端にある高齢者が多い村で、そこでは昔ながらの食習慣が守られている。主食は沖縄特産の「紅芋」で、タンパク質や糖質などが多い栄養豊富な食品だ。他にも豆類やゴーヤーなどの野菜がメインで、肉や魚はあまり食べない。

和食は、味噌汁、漬物、魚の干物など塩分がいっぱいの食べ物ばかりで、脳梗塞などになりやすい。しかしここの人たちは味噌汁、漬物、干物などはほとんど食べない。調味料も塩を使わず、油で炒めるだけ。高血圧などの高齢者の病気を防ぐ合理的な食事になっている。映画のなかで、調理の様子を解説付きで紹介しているので参考まで。→

https://www.youtube.com/watch?v=YxASpKajEGo&t=1s