Evangelical
いまのトランプ大統領の政治はメチャクチャのように見えて理解不能だが、最近出た「福音派 - 終末論に引き裂かれるアメリカ社会」という本を読むと、そのわけがよく理解できる。題名のとおり、いま絶大な影響力を誇るアメリカの宗教団体「福音派」が勢力を伸ばし、単なる宗教の会派を超えて、巨大な政治勢力になっていること解明している。
「福音派」は、トランプ大統領の最大の岩盤支持層だから、トランプ大統領の政策も「福音派」の思想を忠実に実行している。人種差別政策や、排外主義政策や、反イスラム・親イスラエル政策などにそれが表れている。
「福音派」の思想は、聖書の教義を忠実に守ることにある。異教徒の攻撃によって、自分たちキリスト教徒が危機に直面するという聖書の「終末論」を信じている。だから異教徒の敵と闘い、打ち勝って神に約束された自分たちの土地を守るべし、という聖書の教えを信じる思想だ。それが上記のようなトランプ大統領の政策に反映されている。
このような「福音派」の極右的な思想が、トランプの「アメリカファースト」のナショナリズと結びついた結果、現在のような分断国家アメリカを生んだ、というのがこの本の趣旨で、題名の「福音派 - 終末論に引き裂かれるアメリカ社会」はそのことを指している。