2026年9月7日月曜日

「マジック・アワー」の絵画

 Magic Hour

「トワイライト」の光は日が落ちる直前の時間だが、「マジック・アワー」では、すでに太陽が沈んでいるが、まだ柔らかい光が空を染めている。この時間は一日のうちで最も空が美しいが、20 分くらいしか続かない。

「マジックアワー」の美しさを最大限生かした映画が名作「天国の日」だった。平原の農村を舞台にした物語だが、ほとんどすべてのシーンが「マジックアワー」で撮影されている。


遠くの地平線まで平原が広がっている中に、ポツンと一軒の豪邸が建っている。建物にただ一人で住んでいるのは、農場の所有者の金持ちの若い男だが、病気で余命いくばくもない・・・ という物語だが、マジックアワーの雲がピンクがかった柔らかい色に染まっている。「マジック・アワー」の優しい光は「ノスタルジック」や「郷愁」の気分を誘う。


絵画では、マーチン・ジョンソン・ヘイデという19 世紀のアメリカの画家が、「マジック・アワー」の風景をたくさん描いた。いずれも空の微妙な色の美しさを描いている。それが郷愁を誘う。






2026年9月6日日曜日

MLB 選手の人種構成

MLB 

MLB の試合を見ていると、大谷選手など日本人選手が3人いるチームはロサンジェルス・ドジャースだけで他にはないようだ。またドジャースはヒスパニック系の選手が多い。

そこで、MLBチーム全体の選手の人種構成を調べてみたら、以下のようだった。

  白人       60%
  ヒスパニック系  30%
  黒人         7%
  アジア系       3%

さらにチーム別を調べると、ドミニカやヴェネズエラなどが出身のヒスパニック系が多いのは次の3チームだった。
  アトランタ・ブレーブス (ジョージア州)
  サンディゴ・パドレス (カリフォルニア州)
  ヒューストン・アストロズ (テキサス州)
これらは南部の「サンベルト」と呼ばれる地域だ。メキシコ国境と接していて、カリブ海にも面しているから、ヒスパニック系が多いのはわかる。そしてこれらのチームは、リーグの順位で上位にいる強いチームだ。この地域はシリコンバレーの IT 産業やヒューストンの宇宙産業などハイテク産業で発展している豊かな州だから、金の力でいい選手を集めているのかもしれない。

一方で、黒人が多いのは、次の2チームだ。
  ミネソタ・ツインズ (ミネソタ州)
  シンシナティ・レッズ (オハイオ州)
これらの州は、北部の五大湖周辺の「ラスト・ベルト」(錆びた地域)と呼ばれる地域だ。かつては自動車や鉄鋼などの製造業で栄えたが、今では衰退している。ここの工場労働者は黒人が多いから、それが野球の選手にも反映しているのだろう。リーグの順位は下の方にいる。


このような MLB 選手の人種構成はアメリカの政治を反映しているように思える。「ラストベルト」は労働組合が強く、民主党の牙城だったが、「製造業の復活」を掲げたトランプが労働者の支持を集め、共和党が強くなり、多くの州が選挙の接戦州になっている。

「サンベルト」はもともと共和党の保守的な岩盤支持地域だったが、近年はハイテク産業の発展によるリベラル層の増加と、ヒスパニック系などの多様な人種構成に変化して、民主党が躍進し始めて、ここも接戦州になっている。トランプ大統領は白人労働者の雇用を守るという名目でヒスパニック系移民の排除を掲げ、取り締まりを強化している。

カリフォルニア州は移民に寛容で、それがドジャースやパドレスの選手構成に反映しているようだ。トランプの過激な移民取り締まりに反対する市民の大規模デモがロサンジェルスで起こり、警察と衝突する事件も起きた。

2026年9月5日土曜日

トワイライトの名画

Twilight Landscape 

きのうはアマチュア向け教科書に載っているトワイライトの描き方の見本のような絵を紹介したが、今回はトワイライトをさまざまに描いた歴史上の名画を集めてみる。


「ローマの日没」 シモン・ドニ
19世紀初めの新古典主義のドニは北欧の人だが、イタリアの風景を
たくさん描いた。日没の空を画面いっぱいにドラマチックに描いている。


「トワイライト  ヴェネチア」 モネ
モネのヴェネチアのトワイライトの風景。強い光が水面にも反射して、教会が
シルエットで浮かび上がっている、画面いっぱいに光が満ちていて印象派らしい。


「トワイライトの二人の男」 ジャスパー・デヴィッド・フリードリヒ
表現主義のフリードリッヒは、風景に託して自身の内面を表現したが、日没の海を
見て瞑想している二人の男は、フリードリヒ自身の宗教的感情を表している。


「晩鐘」 ミレー
19世紀のバルビゾン派のミレーは、日没直後のまだ明るい光が残るトワイライト
の空を美しく描いている。ロマン主義的な感傷を誘う名作絵画。


2026年9月4日金曜日

日没の光を描く

Twilight Landscape

きのう残照の光を描く難しさと面白さについて書いたが、そういう絵の見本をアマチュア向けの絵の教科書から紹介する。 「残照」や「たそがれ」や「トワイライト」など呼び方はいろいろだが、いずれも昼から夜へ切り替わる瞬間の微妙な光の魅力を描いている。
画像引用:「Pure Color  The best of Pastel」「Landscape Meditation」「Color and Light」


「トワイライト・リフレクション」
太陽が地平線に沈む直前のトワイライトの光が上空の雲に反射している。


「一日の終わり」
日没直前の光が「トワイライト」で、空がもっともドラマチックになる瞬間。黄色、オレンジ、紫色などが微妙に入り混じった色が美しい。


「荒野のたそがれ」
山岳地帯のたそがれの幻想的な風景。モヤがかかって暖色系の光が山全体を覆っている。


「木と月」
日没直後の数分間は、空の光が一日のうちでもっとも美しい時間帯で「ゴールデン・アワー」と呼ばれ、メランコリーな気分を誘う。この絵では月が出ている。


2026年9月3日木曜日

「残照・函館本線」

Afterglow

函館本線は、小樽の近くで日本海沿いを通るが。車で通りかかった時、線路と踏切が見えた。すでに日が落ちて暗くなり始めていて、残照だけが明るい風景が印象的だった。 しかしこの昼でもない夜でもない時間の光を絵に表現するのが難しい。

「残照・函館本線」12号 アクリル

この時間、すでに太陽は水平線の下に沈んでいて、雲が下から照らされている。白い雪はその弱い光を反射してかすかに明るい。雲は暗く見えるが光を透過しているのでかすかに明るい。その光は微妙で、雪は「暗い明るさ」を、雲は「明るい暗さ」を描かなければならない。

これは、錯視の話しでよく出てくる『チェッカー・シャドー」の問題だ、白黒の市松模様で、光が当たっている黒の Aと、影の中にある白の Bは、写真では同じ明るさに写るが、人間の眼には、黒は黒に、白は白に見える。これは「明るさの恒常性」で、光の強さが変わっても、物体の本来の明るさとして人間は知覚する。

2026年9月2日水曜日

「記憶汚染展」

 Memory Bias

見にいってはいないが面白そうな展覧会だ。「記憶」が無意識のうちに「汚染」」されたり、人の「記憶」を意図的に「汚染」させることが日常的に起こる。「記憶」にまつわる「認知バイアス」の危険性を認識させようという意図の展覧会のようだ。

「記憶」に関する認知バイアスの代表は「虚偽記憶」で、過去に実際に起こらなかったことを本当に起きたと思い込むバイアスだ。

だから「思い出」も後から作られることがよくある。それは「事後情報効果」と呼ばれる。「バイアスの心理学」という本に、ある実験が紹介されている。ひき逃げ事件の映像を見せて、一週間後に事故の内容を思い出してもらう実験をした。「逃げた車は赤色でしたか?」と質問されると、被験者の頭の中に赤い車が浮かび、それが「記憶」になってしまう。それで「赤い車だった」と答える。人間の記憶がいかにあいまいで、後からの情報に影響されやすいかを示している。

もうひとつ「確証バイアス」というバイアスがある。自分の考えと一致する情報ばかりを集め、それ以外の情報を無視することをいう。例えば「A型の人は几帳面だ」と信じている人はA型の人に接すると、その人の几帳面な部分にだけ注目して、大雑把な部分は無視する。そうして「やっぱりA型の人は几帳面だ」ということが「確証」になっていく。SNS の偽情報で、繰り返して同じ情報に接すると、だんだん本当のように思えてくるのも同じだ。


2026年9月1日火曜日

印旛沼の風景

 Imba Lake

千葉の印旛沼へよく行っていたころ、沈んだ舟を見かけた。それが好きで、夕日の風景と、冷たい雨の日の風景を描いた。