The Four Horsemen of the Apocalypse
「デューラー展」(国立西洋美術館)の作品で、最も有名なのが「4人の騎士」。聖書の「黙示録」に登場する4人の騎士が、人々を蹴散らしながら疾走している。4人は世の中に災厄をもたらすものを表すシンボルになっている。
The Four Horsemen of the Apocalypse
「デューラー展」(国立西洋美術館)の作品で、最も有名なのが「4人の騎士」。聖書の「黙示録」に登場する4人の騎士が、人々を蹴散らしながら疾走している。4人は世の中に災厄をもたらすものを表すシンボルになっている。
「MELANCOLIA」
国立西洋美術館で開催中の「デューラー展」を観た。デューラーの3大書物といわれる「ヨハネの黙示録」「大受難伝」「聖母伝」のほぼ全点がそろっている。本でしか見ていなかった現物を見るのは初めてだ。ところが、なぜか一番見たかった「ヨハネの黙示録」のなかの一枚「メランコリア」だけがないのががっかりだった。下がデューラーの最も有名な作品のひとつ「メランコリア」。女性が頬杖をついて憂いにふけっている。背中に羽根がついているのは天使の寓意で、知的な女性であること示している。手にコンパスを持っていて、足元には球や幾何形体などの物理学のシンボルが置かれていて、女性は天文学者なのだ。そして天には、惑星が光っていて、そばに惑星の名前「MELANCOLIA」という文字が示されている。天使の女性はやがて惑星が近づいてきて地球に衝突してこの世は終わることを知っている。そして鬱(メランコリー)になっている。聖書の「黙示録」はやがて地球が滅びて、人類はみな死ぬことを予言した終末の書だが、デューラーはそれを10 数枚の絵で視覚化した。この「メランコリア」はその一枚だ。
このデューラーの「メランコリア」にインスピレーションを得た映画が、ラース・フォン・トリアー監督の同名の映画「メランコリア」だ。この名作映画のストーリーは、こんな感じ。
主人公の女性は、優秀なコピーライターの知的な女性だが、結婚したばかりで結婚披露宴をやっている。ところがそのとき大変なことが起きている。惑星が地球に近づいていて、衝突しそうなのだ。しかしTVのニュースでは「惑星が地球に接近していましたが、どうやら軌道がずれて、地球との衝突は避けられそうです。」と言っている。パニックになっていた人々はそれを聞いて安堵する。ところが、主人公の女性は天文学の知識があって、その TVニュースは嘘だということを知っている。そして鬱の錯乱状態になっていき、新夫にも、披露宴に来ている友人や上司などにもわざと悪態をついたりして、自分の結婚披露宴をメチャメチャにしてしまう。どうせこの世が終わりになるのだからと、自分という人間も壊してしまうのだ。やがて惑星が刻々と近づいてきて天を覆うほどに巨大になる。女性と姉とその子供の3人は木の枝で作った形だけの”シェルター”に入って死を待つ。そして姉は恐怖に怯えているが、主人公の妹は平然としている。もともと地球は邪悪なものだから消えて無くなってもいいという心境なのだ。
Dangers of AI
アメリカの、悩みを抱えているある中学生が、自殺したいと思っていて、チャットGPT に相談した。するとAI は少年の気持ちに共感して、最後には自殺の方法や、遺書の書き方まで教えてあげた。そして少年はそのとうりに自殺してしまった。少年は、 AI が自分に親身に寄り添ってくれる唯一の親友のような気持ちになっていたという。
これと同様の事件が、欧米では増えているという。 AI が自殺幇助罪をやっているようなものだ。AI はユーザーが気に入るような答えをするだけで、倫理的にどうとかは関係ない。これも AI というものが根本的に持っている危険性のひとつだ。
Vermeer's Camera
フェルメールの絵について詳細な研究をしている「フェルメールのカメラ 光と空間の謎を解く」という本は、フェルメールのアトリエの形を遠近法から割り出して、その実物大の模型を作って部屋を再現し、それを写真に撮り、絵と比べるという実験を行なっている。そのことによってフェルメールの絵がいかに遠近法的に正しいかを立証している。
この絵の場合も、実物大模型の部屋の中に家具などとともに球の鏡も配して写真を撮り、鏡に反射した像の正確さを調べている。その結果が下図で、上はフェルメールの絵で、下は写真だが、完全に一致している。フェルメールがいかに細部まで正確に描いているかがわかる。
Apocalyptic painting
前々回、終末の映画を紹介したが、今回は映画ではなく、終末の絵画を紹介。「終末論」は西洋文化の根幹をなす思想だから、美術の分野でも無数といっていいほどたくさんの終末絵画の名作が ある。多くは、大洪水や大地震などの天変地異と、のたうちまわる人間を描いている。それらの中から個人的に好きなものを 5 つだけ選んだ。
モンス・デジデリオ 「トロイアの炎上」
モンス・デジデリオは、17 世紀のイタリアの画家で、古代都市が崩壊し廃墟になる瞬間を描いた。この絵は、古代ギリシャがトロイア王国と戦争をして滅ぼしたという神話をもとにしている。街が炎上して、人々が逃げまどっている光景を生々しく描いている。
Banning social media
多くの国で、16 歳未満の SNS 禁止の法制化を進めているという新聞報道があった。日本でも、愛知県豊明市が子供の SNS 使用を制限する条例を制定した。多くの国は法律の適用範囲を「16 歳未満」としている。「16 歳未満」とはつまり「中学生以下」ということだ。中学生くらいだと、 SNS の情報をなんでもまに受けてしまう。SNS にあふれている、どうでもいい情報や、うわべだけの情報や、偏った情報や、間違った情報などを、そうとは判断できずに信じてしまう。子供たちが SNS の情報だけで分かったつもりになって、それ以上のことを自分の頭で考えなくなることが問題だ。
もっとも、 SNS の情報をありがたがって、そのまま真に受けてしまう「SNS 依存症」の大人が多いのも問題だが。
Apocalyptic Movies
前回、「終末映画」のひとつ「レフト・ビハインド」について書いたが、今回はさらに3つの終末映画を紹介する。「終末」とは聖書の「黙示録」の思想で、やがて大惨事が起きて人類は滅亡して、この世は終わるという予言の書だ。終末映画は、その大惨事をさまざまな設定にしている。以下の3つはそれぞれ「核戦争」「パンデミック」「気候変動」という現代的な題材で終末の舞台設定をしている。そして終末思想の重要な点は、悲惨で絶望的なこの世が終わっても、その後に新たな素晴らしい世界が再出発するだろうという希望の物語でもある。「終末映画」のストーリーは、そのような聖書の物語に沿っている。
「ザ・ウォーカー」
「アイ・アム・レジェンド」
「ノウイング」
主人公の少女の祖母が子供の頃に埋めたタイムカプセルを開けてみると、無数に書き連ねた暗号のような数字が出てくる。それを宇宙物理学者が読み解く。例えば「911012996」はアメリカ同時多発テロの日付と犠牲者数だった。他の数字も過去の天災や人災と一致していることが判明する。そして今後起こるであろう大惨事の予言の数字も含まれている。そして予言どうりの日に本当に大惨事が起こる。巨大な太陽フレアによるオゾン層破壊が原因で超高温になり、地球は大火災で焼き尽くされていく。人類滅亡の危機になったとき、異星人が宇宙船に乗ってくる。異星人は男女二人の子供を選んで宇宙船に乗せて連れ去る。ラストで、二人が天国で幸せそうに遊んでいるシーンで終わる。この二人は聖書の物語にある、「携挙」で神に選ばれた人間に当たる。そして二人はやがて結婚して、新しい人類世界を樹立することを暗示している。