Monet
モネはロンドンの 「ウォータールー橋」をモチーフに多くの絵を描いた。
モネの絵はいつも遠近法(透視図法)が正しく描かれているが、この絵でもアーチ橋の楕円が正確だ。それを確かめるために下図の作図をしてみた。円の遠近法を知らないと、楕円の長軸を垂直に描いてしまいがちだが、モネの絵はちゃんと傾いている。
Monet
モネはロンドンの 「ウォータールー橋」をモチーフに多くの絵を描いた。
Trevor Chamberlain & Aerial Perspective
遠近法といえば、普通は「線遠近法」だが、他にもいろいろな遠近法がある。その中でもっともポピュラーなのが「空気遠近法」だ。「空気遠近法」の意味がよく分かるのが、広重の「東海道五十三次」のなかの「庄野」だ。
Emmanuel Todd & Gauguin
前回、エマニュエル・ドットの「西洋の敗北と日本の選択」について書いたが、同氏の3年前のベストセラー「我々はどこから来て、今どこにいるのか」についても、2023 年に投稿した。それを再編集してもう一度書く。
After the Empire : The Breakdown of the American Order
先月出たばかりの、エマニュエル・トッドの 新著「西洋の敗北と日本の選択」をさっそく読んだ。歴史的に重大な出来事の数々を予言してすべて的中させてきたトッドだが、今回は日本に焦点を当てている。トッドのいう「西洋の敗北」とは、これまで世界を支配していた「自由主義的西洋」の崩壊を意味している。そのことが現在のアメリカに顕著に現れているとしている。経済の基本である産業やモノづくりをおろそかにして、金融による富の力で世界の覇権を維持しようとしている。トランプはその間違いに気づいたものの、その対策が、自国産業を守るために、友好国に対しても高関税をかけるいうとんでもない方向へ行ってしまった。
そしてアメリカはヨーロッパに対して防衛費をもっと増やせと要求して、米欧の分裂が始まった。その結果がウクライナ戦争に現れているとトッドは言う。ウクライナはヨーロッパが守るべきで、その代わりに自分は停戦の仲介役をやってやるというのがトランプの態度だ。だからトッドは、ウクライナ戦争は、絶対にロシアが勝つと断言している。
このような「西洋の敗北」という歴史観の上に立って、トッドは日本の進むべき道を提言している。将来の日本の危機において、経済力も軍事力も衰えたアメリカが、日本を助けてくれることは絶対にない。だから日本は、自力で国を守るために、「核武装」すべきだ、と断言している。
Painting leaving person
日経新聞. 文化欄の「〜の絵画 10 選」のシリーズはとても勉強になるが今回は、「去り行くものを描く 10 選」だった。去ってゆく人を惜しむことをテーマにした絵画10 作品の解説がされている。その中で、ゴッホの「ゴーギャンの肘掛け椅子」が興味深かった。
Pictogram of Expo
大阪万博が終わったが、「オール・ジェンダー・トイレ」のピクトグラムがひどいと批判を浴びているというので、ネットで見てみたが、なるほどビックリだ。下図のように、何やら怪しげな人間の姿が並んでいる。これを見て意味を理解できる人はいないだろう。どうやらいろんな国の衣装を着た男女の姿を描いているらしい。
世界標準機構(ISO)は工業製品の世界標準化を推進している国際機関だが、その中にピクトグラムの標準化をはかる部門がある。たくさんのピクトグラムが世界標準に制定されて、国際的に使われている。この世界標準化で、日本はたくさんの貢献をしてきた。1964 年の東京オリンピックで、文字に頼らず見るだけで意味が理解できる「ピクトグラム」の開発が行われた。日本のトップデザイナーが集結してデザインされたピクトグラムは、やがて世界標準になり、その後の各国のオリンピックや万博で使われ、また各国の空港や駅などの公共施設でも使われている。
Tron
「トロン」の新作「トロン アレス」が公開された。「トロン」のこれまでの3作の公開年を調べたら以下のようだった。1作目からもう33 年もたっている。
3作に共通したテーマは「デジタル」だが、前回書いたように、デジタルの中身が時代とともに変わってきた。そして画像表現技術としての 3D CG 技術の進歩が大きい。
最初の「トロン」は3D CGとはいえワイアフレームのままで、現在からすればとんでもなく原始的だった。しかしこれでも、1982 年当時には、デジタル時代の始まりを感じさせてじゅうぶんに画期的だった。