閑人の絵日記
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2025年12月26日金曜日
スマホの無い一日
2025年12月25日木曜日
「スマホはどこまで脳を壊すか」
Smartphone Idiot
スマホの使いすぎで「スマホ馬鹿」になるというのは、今や常識になっている。スマホ使用制限を法律で定めようとする国も増えてきた。スマホ依存になると、子供の場合は成績が悪くなり、大人の場合は認知症になりやすい。最近出た「スマホはどこまで脳を壊すか」という本で、脳科学者の著者が、スマホ依存の害を科学的に説いている。脳の領域のなかで「前頭前野」という部分が、何かを考えたり、理解するような、「認知機能」を担当している。ところが、この前頭前野は加齢とともに萎縮しやすい。そのため、高齢者は認知機能がどんどん失われて、認知症になりやすいという。
脳の萎縮を防ぐには、脳の運動不足を防ぐこと、つまり「脳を使うこと」に尽きると著者は言う。ところがスマホを使うとき、手間をかけずに情報を得られるので、人間は「脳を使っていない」状態だという。そのことを以下のような実験で立証している。
ある難しい言葉を与えて、その意味を調べるという課題を、被験者を二つのグループに分けてやらせる。一つはスマホを使って調べるグループで、他方はスマホ以外の紙メディアを使って調べる。その間、脳波を測定して、脳の活動状況を調べる。するとスマホのグループは、スマホがすぐに答えを出してくれるから、人間の脳は全く働いていない。いっぽう紙のグループはあれこれ調べてそれらを総合して答えを出さなければならないので、脳は活発に活動する。
つまりスマホを使っている間、脳は寝ているのと同じ。だから、何かというとスマホに頼るスマホ依存の人は、脳の機能をスマホに「外注」しているようなものだという。著者は「ラクをするな、頭を使え!」と言っている。
2025年12月24日水曜日
ターナーの「死に神」
The Pale Rider
デューラーが描いたこの「死に神」は、後々の時代まで多くの影響を与え、いろいろな画家が、さまざまな形の「死に神」を描いた。「黙示録---イメージの源泉」(岡田温司)にそのような作品を紹介しているが、19 世紀のターナーまでが「死に神」を描いたそうだ。それがこの「蒼白い馬に乗る死」という絵。ターナー独特の、モノと空気が溶け込んで、輪郭がはっきりしない絵だが、馬の背中に骸骨の「死に神」が仰向けに乗っている。右手の骨は虚空をつかもうとしている。
2025年12月23日火曜日
映画「地獄の黙示録」
「Apocalypse Now」
「黙示録---イメージの源泉」という本が出た。聖書の「黙示録」をイメージの源泉にした、古代から現代までの芸術作品を取り上げている。「黙示録」がいかに芸術の歴史に大きな影響を与えてきたかを知ることができる。また「黙示録」がいかに人間の想像力を掻き立てる源になってきたがわかる。この本は絵画だけでなく、映画についても取り上げている。その一つがコッポラ監督の名作「地獄の黙示録」で、題名通りズバリ「黙示録」をテーマにしている。自分が見たのはずいぶん前だが、おどろおどろしく、狂気じみたイメージに溢れていて、強烈な印象が残っている。
映画は、ベトナム戦争を題材にしている。ストーリーはこんな感じだ。米軍の大佐が、軍から離脱して、ジャングルの奥深くに立てこもり、原住民たちを従えた王国を作り、その王になっている。大佐は原住民から崇められる神のような存在だ。いっぽう特殊部隊の大尉が、大佐の暗殺を軍から命じられ、川を下ってジャングルのなかの大佐の王国へたどり着く。そして二人は対決する。映画は、戦闘、転がる死体、轟音と死臭、拷問、生贄の儀式、などの地獄のようなシーンが続く。黙示録のテーマとイメージに溢れたこの映画について、同書の著者 岡田温司氏はこう解説している。黙示録のテーマは、世界の「終末」と、その「再生」だが、この映画は、「終末」をもたらしている大佐と、世界の「再生」を目指している大尉との対決とらえることができるとしている。大佐は「偶像を崇めている邪教徒の巣に君臨する悪魔」というアンチキリストであり、大尉は大佐を殺して、救世主としての新たなキリストになろうとしている。
2025年12月22日月曜日
黙示録絵画の「4人の騎士」
The Pale Rider in Four Horsemen
一昨日、「デューラー展」(国立西洋美術館)にあった「4人の騎士」について書いたが、その続きを。この絵で、4人の騎士が、人々を蹴散らしながら疾走している。4人は、世の中に災厄をもたらすものを表すシンボルになっている。
2025年12月21日日曜日
水面反射の遠近法 モネとワイエス
モネの画集を見ていると、水辺の絵が多いこと気づく。そして、そこでの水面反射の描写がモネの魅力になっている。例えばこの絵は、画面を上下ピッタリ2分の1に分けて、上半分が森の木々で、下半分を木々の水面反射を描いている。早朝の波のない静かな川なので、鏡面反射して、完璧に上下反転している。こういう構図は珍しいが、モネが描きかったのは森そのものよりもむしろ川の反射の方だったことがわかる。
遠近法の解説書で、反射の遠近法について、こんな原理図が必ず出てくる。鏡の上に直方体があり、上下反転した直方体の像が鏡に映っている。そして直方体そのものと反射像は共通の消失点に収束する。いまさらの常識だが、モネの絵はそのとうりになっている。
2025年12月20日土曜日
デューラーの「4人の騎士」
The Four Horsemen of the Apocalypse
「デューラー展」(国立西洋美術館)の作品で、最も有名なのが「4人の騎士」。聖書の「黙示録」に登場する4人の騎士が、人々を蹴散らしながら疾走している。4人は世の中に災厄をもたらすものを表すシンボルになっている。