2026年5月24日日曜日

江戸の観光ガイドブック「名所図絵」

 Tourist Guidebook in Edo

観光旅行ブームだった江戸時代には、「名所図絵」という観光名所のガイドブックがたくさん出版されていた。「伊勢参宮名所図絵」「善光寺名所図絵」「金毘羅参詣図絵」「東海道名所図絵」などなど日本各地の有名観光地はすべてカバーされていた。それは現地の雰囲気をイラストで表現していて、現在のインスタ映え的な写真ばかりのガイドブックとは違う生き生きとしたしたものだった。それらを紹介した『江戸の旅  名所図絵の世界』からいくつか紹介する。


「大和名所図絵」の中の奈良の春日大社の光景。今現在も、奈良公園(一部は春日大社境内)で観光客が鹿に鹿せんべいを与えているのが普通の光景になっているが、すでに江戸時代から今と同じだったことがわかる。茶屋で観光客が鹿に鹿せんべいをあげている。左側に茶屋の店主が湯を沸かしている。左下には子供が紙を鹿にあげようとしているが、母親がその子の帯をさりげなくつかまえながら隣の女性と話している。



「江戸名所図絵」のなかの一枚で、人々が行き交う賑やかな商店街を描いている。店は「薬種店」という看板があるから、ドラッグストアのような店だろうか。「図絵」は編集プランナーがいて、専属の絵師がイラストを担当した。この「江戸名所図絵」は全7巻 20 冊 だったそうだ。



「河内名所図絵」のなかの「河内木綿」という一枚。今の大阪府八尾市は河内木綿という木綿の名産地だったそうだ。中央に木綿を織る女性が見える。左には、店主が反物をを見せながら商談をしている。右には糸車を運んできた娘がいる。人々の生活をいきいきと描いている。



京都名所案内「都林泉名勝図絵」の仲の高級料亭「角屋」の風景。冬の雪景色を描いている。中央の大座敷で宴会をやっている。右の小座敷にも別のグループがいる。二階のベランダから雪景色を眺めている人がいる。手前の庭では雪だるまを作ったり、雪投げをしている。




2026年5月23日土曜日

映画「蝿の王」

 「Lord of the Flies」

前から気になっていた映画「蝿の王」を DVD で見た。登場するのは子供達だけだが、決して気持ちのいい映画ではない。むしろ"いやーな感じ"の映画だ。ストーリーはこんな感じ・・・

船が遭難して少年たちが無人島に漂着する。子供たちは陸軍幼年学校の生徒で、頭がよくて規律を身につけた子供達だ。彼らはサバイバルのために一致団結しようと、リーダーを決め、規則を作り、仕事の役割分担を決める・・・

ところが些細なことからいさかいが始まり、二つのグループに分裂してしまう。秩序は崩壊し、権力闘争になっていく。やがて暴力を振るい合う抗争になり、ついに殺し合いになってしまう・・・

映画の原作は、イギリスの作家 ウィリアム・ゴールディングで 1983 年にノーベル文学賞を受賞している。ゴールディングは大戦中に従軍した。ナチスによるユダヤ人大虐殺を目の当たりにしたことから彼の思想が出来上がった。彼はこう言っている。『虐殺をやったのは、未開の首狩り族ではない。文明の伝統を背負った教養のある人々が、冷静に行なったのだ。社会制度の影に隠れている人間の強欲さや残虐性がむき出しになったのだ。』

こう書けばこの映画は、ゴールディングの思想を、極限の状況に置かれた子供たちの物語に置き換えたアレゴリーであることがすぐにわかると思う。見た人は自分のうちに潜んでいる人間悪を見せつけられた思いがする、

2026年5月22日金曜日

江戸時代の東海道旅行

 Traveling Tokaido

江戸時代の一般庶民は旅行好きだったようで、当時の旅の様子が「大江戸庶民事情」(石川英輔)に紹介されている。

東海道は旅行客が最も多い街道だった。有名な歌「お江戸日本橋七つ立ち〜」は、京都に着くまでの旅を沿道の地名を織り込んで歌う道中歌だが、この「七つ」というのは当時の時間で夜が明ける「明けムツ」より1時間早いまだ暗い時間で、そのくらい早朝に出発した。だから歌は「〜こちゃ高輪 夜明けて提灯消す」と続く。

東海道は日本橋から京都まで約 500 km で、それを10 日で歩くのが標準なので、一日平均 50 km歩いた。その距離に合わせて、各宿場が設けられていた。当時の人はとても健脚だったようだ。暗くならないうちに宿場に着き旅籠に泊まり、入浴と食事を済ます。終わるとすぐに寝て、次の日も朝早く起きられるようにした。

宿に到着したばかりの旅人。風呂が沸くまでゴロンとひと休みしている。
(絵は「五十三次北斎道中画譜」からで、庶民が旅をする様子を描いた画集)

同書は、当時の費用を概算している。旅籠の宿泊代は2食付きで一泊 200文くらいで、昼食代などで 100文くらいかかり、京都につくとしばらく滞在してあちこち見物する費用など全部合わせて 2両ぐらいだったという。これはちょうど大工などの職人の月収くらいの額に当たるそうだ。だからちょっと貯金をすれば誰でも旅に行けた。今でいえばヨーロッパあたりへ旅行するくらいの感覚だったようだ。

江戸の一般庶民は「連」という同好会サークルを作り色々な趣味を楽しんでいたが、旅行の「連」もたくさんあった。そういう人たちはグループツアーで旅行をした。前回書いたように江戸は女子会が盛んだったが、女性どうしのツアーも多く、東海道は女性の旅人で賑わっていたそうだ。右図は当時の観光案内パンフレットに載っている女性の旅人たちの絵。

江戸時代は治安がよく、山賊や雲すけなどは実際にはほとんどいなかったそうだ。だから女性だけの旅も安全だったという。毎年人口の6人に1人が東海道の旅に出かけたという。江戸は旅行ブームだったそうだ。

2026年5月21日木曜日

江戸の女子会

 Get-together of women

江戸の周辺には、四季折々の名所があり、庶民たちは物見遊山に出かけた。春の桜、夏の納涼、秋の月見、冬の雪見などを楽しむ様子が浮世絵や錦絵にたくさん描かれている。それら物見遊山の絵を見ると、女性の姿が圧倒的に多い。女子会や女子の飲み会をやっている。

これについて、石川英輔「大江戸庶民事情」によると、長屋住まいの職人の妻でも夫がせっせと働いている間、女性たちは仲間どうしで誘い合わせ、物見遊山に出かけていたという。江戸では男に比べて女がずっと少なかったため、妻になってくれる女性がいるだけで幸運だったという。だから女性が遊山に行くくらいでご機嫌になるなら文句を言うどころでなく、せっせと働いて女房を遊ばせていたそうだ。


隅田川沿いの料理屋での賑やかな飲み会。三味線を弾いたり、
歌ったり、踊ったり、すでにゴロンとしている女性も。

夏、隅田川に面した料理屋で月見の女子会をやっている。

女子だけで屋形船を貸し切って隅田川の花火大会を見物している。

日常的にも居酒屋で女子の飲み会をよくやっていた。
左下で二人が飲んでいる。その奥で手酌で飲んでいるお一人様も。


2026年5月20日水曜日

プッシュ型情報とプル型情報

 Push-type information & Pull-type information

情報にはプッシュ型とプル型がある。プッシュ型情報は TV 放送のように、受け取る側の意向に関わりなく、一方的に送られてくる情報。プル型情報は VOD のように、受信者が欲しいものを取りに行く情報。ネットの SNSでいうと、Facebook は FB 友全員に自動的に配信されてくるプッシュ型だが、ブログは読みたい人が読みにいくプル型になる。だから目的に応じて両者を使い分ける。

FB は仲間うちの交流が主目的で、個人的・日常的な内容が中心になる。その情報は流れて一日で消えていく。

一方ブログの情報は、ネット上に蓄積されていき、その情報を不特定多数の人が検索して読みに来る。だから3年たっても5年たっても検索でヒットした人のアクセスがある。だから読まれるだけの内容が必要で、個人的・日常的な日記のような内容はブログには向いていない。


2026年5月19日火曜日

AI にツッコミ質問すると

Is AI intelligent ? 

AI にこんな質問をしたことを以前書いた。「 AI って頭のいいおバカですか?」という質問に対して答えはこうだった。「 AI は人間が一生かかっても得られないほどの膨大なデータを学習しているので知識は超一流で『頭がいい』です。しかし言葉を『記号の並び』として処理しているだけで、内容を実感として理解していないから私は『おバカ』です。」・・・と正直かつ的確な答えだった。 AI の本質を AI 自身が語っていて面白かった。

ところが最近ある知人が、これ以上さらに AI の本質をついた話しを SNS に書いていたので、以下に紹介する。それはある映画が面白くなかったので、 AI になぜかを聞いてみたら、答えはいろいろな映画評論に書いてあることを寄せ集めただけの平凡な内容だった。そこでさらに突っ込んだ質問をした。それは「 AI さんの映画の内容理解は、評論や解説のテキストデータからですか?それとも映画そのものを見て映像や音から解釈しているのですか?」

それにたいしてが答えは「私は映画を直接見て解釈している訳ではなく、世界中に存在する解説、評論などの膨大なテキストデータを学習した結果から映画の内容を理解してお答えしています。」という答えだったそうだ。

そしてさらに「私は、映画全体の流れ、映像がもたらす心理的効果、音響の繊細なニュアンス、などを人間のように五感を使って体験し、そこから独自の解釈を生み出すことはできません。私は世の中にある解釈の傾向を整理して提示しているだけです。」と続けた。

そして結論として「予備知識なしに純粋に映画だけを見てその意図を見抜くというのは、高度に知的・感性的な行為です。それは人間だけが持っている力で、私にはできないことです。」

 AI はとても正直に答えている。この間2時間くらいかけて AI と対話したそうだが、質問者のツッコミ力に感心した。


2026年5月18日月曜日

いろいろな国の独立運動

 Independence Movement

映画「シビルウォー」は、西部のカリフォルニア州とテキサス州の西部連合軍が連邦政府軍と戦う内戦を描いている。しかしこれはまったくの荒唐無稽なフィクションではなく、今現在実際に、カリフォルニア州とテキサス州に起きている独立運動を踏まえている。カリフォルニア州とテキサス州は、政策面で連邦政府と対立することが多いが、経済力が強く、GDP は全米1位と2位の州だ。今は住民の署名活動をしている段階だが、来年には住民投票に持ち込もうとしている。住民の支持率はかなり高いという。憲法の制約があるから実現は難しいようだが。

映画で、両州連合軍は「Western Forces」と呼ばれていて、その旗が面白い。2つの星はカリフォルニアとテキサスを意味している。実際の星条旗には州の数である50 の星があるが、それをもじっている。二つの州が新しいアメリカの建国をするというメッセージになっている。
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ついでに、これ以外の国の独立運動について。

イギリスは UK (United Kingdom) という通り、4つの王国の連合国だが、そのうちのスコットランドはイギリスからの分離・独立を目指している。自治政府は一方的に住民投票を行ったが中央政府はそれを違法だとした。しかしスコットランド民族党の勢力は強く、対立は続いている。

スペインのカタルーニャ地方は、独自の歴史・文化・言語を持っていて、スペインからの分離・独立を目指している。州政府が一方的な独立宣言をしたことから、中央政府との激しい対立が生じ、現在も混乱が続いている。

もともと独立した琉球王国だった沖縄が、明治時代に日本に併合されたという歴史を背景に、沖縄の日本からの独立を目指す琉球独立運動がある。しかし県民の支持率は数%と低い。