Transmmited Light
光が物に当たったとき、反射、吸収、透過の3つの性質がある。静物画ではそういう光を描くのが面白い。中でも透過光は複雑で面白い。
ガラス製品は光を強く反射するが、同時に透過もする。反射光と透過光がからみあって複雑な光になる。ウィスキーの入ったグラス、ビー玉のいずれも透明なので、光が入った側の反対側が透過した光でボーッと明るくなる。
果物にも透明なものがある。ブドウの果肉は透明なので、光が果肉を透過して、暗い部分がかすかに明るくなる。ビー玉と似ている。
Transmmited Light
光が物に当たったとき、反射、吸収、透過の3つの性質がある。静物画ではそういう光を描くのが面白い。中でも透過光は複雑で面白い。
ガラス製品は光を強く反射するが、同時に透過もする。反射光と透過光がからみあって複雑な光になる。ウィスキーの入ったグラス、ビー玉のいずれも透明なので、光が入った側の反対側が透過した光でボーッと明るくなる。
Martin Johnson Heade
ボタニカル・アートは、カルチャーセンターなどでお手軽な趣味として流行しているが、写真の通り描くだけの絵で、草花の活き活き感がない。植物図鑑の挿絵のような死んだような絵だ。
対照的なのがマーチン・ジョンソン・ヒードで、もともとは風景画家だが、風景の中の草花をクローズアップで描くようになった、ボタニカル・アートと違って、植物が生きている野生の環境も含めて活き活きと描いた。熱帯で取材をして描いた食虫植物の絵では、生々しくて不気味な感じさえする。(画像:「Matin Johnson Hede」より)
Handmaid's Tale
カナダの女性作家 マーガレット・アトウッドは、ノーベル文学賞の有力候補だったが、今年は受賞しなかった。しかし代表作「侍女の物語」の、世界中に与えたインパクトの大きさから、いずれ受賞するに違いない。「侍女の物語」は、宗教原理主義者が政権を奪取して、独裁政治をしている国の物語だ。出生率の低下を食い止めるために、すべての女性から仕事と財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」として、強制的にエリート層の男の邸宅に送り込む。「侍女」たちはあくまで出産の道具だ。
「侍女の物語」は、このような近未来社会を描いたディストピア小説だが、今から 40 年くらい前の1985 年に書かれた当時は、 SF ファンタジー小説としか思われていなかった。しかし近年になって、この小説が書いているディストピア社会が現実のものになってきて、この小説が現代への警告だと受け止められるようになった。
特にそれがはっきりしたのは、トランプが大統領になって、支持基盤のキリスト教原理主義団体の主張をもとに、妊娠中絶禁止の法律を作り、女性の産まない権利を奪おうとしていることだ。これに対して、人権侵害だとして猛烈な反対運動が起きている。
小説は「ハンドメイズ・テイル」という題名で映画化されたが、小説どおり侍女は、白いフードと赤いガウンを着ている(上図)。反対運動の女性たちは抗議デモで、これと同じ服装を着て抗議している。左図のプラカードの「これはフィクションではない」の「フィクション」は「侍女の物語」を指している。右図のように全員が「侍女」の服装を着ている。「侍女の物語」は、女性人権運動のシンボルになっていて、この小説の影響力の強さを物語っている。
BEN-HUR
昔懐かしの名画「ベン・ハー」が今月から NETFLIX で配信が始まったので早速見た。しかしこれは、かつて見た オリジナル版( 1959 年)ではなく、2016年のリメイク版だ。かの有名な戦車競争のシーンが実写から CG になったりしてスペクタクル感がすごくなっているが、ストーリーの基本は変わっていない。ユダヤの豪族の家で育ったユダヤ人の兄とローマ人の弟との、義兄弟の物語だ。
ローマ帝国の侵略でイスラエルは植民地になり、兄と弟は政治的立場が対立するようになる。ローマ軍の司令官になった弟の命令により、兄は奴隷にされてしまう。苦難の末に生き延びた兄は。弟への復讐のために戦車競争を挑む・・・
この映画のオリジナル版との違いは、イエス・キリストが登場することだ。磔刑に処せられるキリストがローマ兵に追い立てられて、十字架を背負って処刑場へ登っていく時、主人公の兄が水を差し出すシーン。もうひとつはラストで、家族全員が無事で生きていたことを知り、神の奇跡が起こったと喜びあうシーンで、背景に十字架にかけられたキリストが映し出される。そして憎しみあっていた兄弟も、和解と許しで終わる。このようにリメイク版は、宗教映画的な色あいが濃くなっている。
Aliace Grace
「またの名をグレイス」は以前見た映画だが、 NETFLIX でもう一度見た。昨日、マーガレット・アトウッドの小説「侍女の物語」について書いていて、同じアトウッドの小説を原作にするこの映画を思い出した。19 世紀のカナダを舞台にして、ある若い女性の過酷な人生を描いている。家政婦グレイスは、虐待を受けていた雇い主とその愛人を殺した容疑で有罪になり終身刑になる。しかし彼女は当時、記憶を失っていて、その事件は知らないと主張している。
彼女は被害者なのか、それとも残忍な殺人者なのか? 彼女の真実を解き明かそうとして、精神科医が本人との面談を繰り返していく・・・しかし映画は、最後まで主人公の本当の姿がわからないまま終わってしまう。
映画は当時の社会の、男尊女卑や、弱者への虐待や差別、民衆の貧困、などをリアルに描いているが、いずれも今日につながる問題だ。
Handmaid's Tale
昨日、ノーベル文学賞の速報を見たら、アン・カーソンというカナダの女性詩人が受賞した。残念ながら、日本人の受賞はなかった。
このアン・カーソンという人は知らなかったが、同じくカナダの女性作家マーガレット・アトウッドもずっと受賞候補者だった。アトウッドの代表作「侍女の物語」は世界中でベストセラーだった。架空の国「ギレアド」を舞台にした物語で、キリスト教原理主義者がクーデターを起こし、政権を奪取する。出生率の低下に危機感を抱いている彼らは、すべての女性から仕事と財産を没収し、妊娠可能な女性たちを「侍女」としてエリート層の男の邸宅に派遣する。「侍女」たちはあくまで出産の道具だ。主人公の女性の名は「オブフレッド」だが、「オブ」は「OF」で、派遣先の男の名「フレッド」の所有物であることを表している。このように、SF のかたちをとったディストピア小説だが、女性差別社会への批判のメッセージが込められている。
Kazuo Ishiguro
昨日、ノーベル文学賞について書いたついでに・・・ 日本人の文学賞受賞は川端康成と大江健三郎の二人と一部で報じられているが、もう一人カズオ・イシグロがいる。イギリス国籍だが、日本生まれの日本育ちだ。映画「わたしを離さないで」はイシグロの小説の映画化だが、最後のエンドロールで「Based on the Nobel by Kazuo Ishiguro」と出てきたので、初めてカズオ・イシグロの名前を知った。
この映画は、表面的には、甘く切ない青春映画だが、登場する若者たちは、政府の政策によって作られたクローン人間だ。彼らは臓器移植で臓器を提供するためだけに生まれてきた。そして臓器を提供すると自分は死んでしまう運命にある・・・ というデイストピア映画だ。その当時、日本人のノーベル賞候補として村上春樹が有力視されていたが、この映画を見て、カズオ・イシグロが先に受賞するのではないかと密かに思っていたが、実際に 1017 年に受賞して、予想は当たった。
もうひとつのイシグロの小説「日の名残り」は、名門貴族の執事として一生を捧げてきた男の人生を描いているが、これも映画化されたが名作だった。