2026年1月24日土曜日

ロゴのデザイン 二つが合併したとき

Logo-Mark design 

前々回、二つの政党が合併してできた新党のロゴマークについて書いた。それで、同じく二つの銀行が合併してできた銀行のロゴを思い出した。

両者のデザインは、考え方が似ている。二つが合体したことを意味する二つの円が交差している。その結果、両側に三日月形ができている。違いは、銀行の方が、三日月形の真ん中にもう一つの円を置いているのに対して、政党の方は、三日月形に挟まれた中央が空白のままだ。

企業にしろ政党にしろ、二つが合併するとき、ただの「1+1」ではなく、それ以上の新しい価値を生み出そうとする。でなければ合併する意味がない。この銀行のロゴの方は、中央の円でそれを表している。(実際にそうかどうかは知らないが)しかし政党のロゴの方はそれがなく、ただ二つがくっついたというだけの形だ。

報道を見ている限りでは、この新党が、合併することによって何を目指すのかがはっきり伝わってこない。そのことがロゴのデザインに現れているのかもしれない。


2026年1月23日金曜日

子供の頃の食べ物の味

 

子供の頃、農家で育ったが、当時の食べ物の味をときどき思い出す。

米がうまかった。当時食べていた米と比べると、現在スーパーで買う米は、これが米かと思うほど不味い。農家は出来がいい米を自家用にして、それ以外を出荷していた。

トマトやキュウリは朝獲れで味が濃く、切った時にプンといい香りがする。冷蔵庫のない時代、井戸の中で冷やしたのをガブッとかじる。今のトマトやキュウリは味も香りもまったくない、形がトマトやキュウリに似ているだけの ”もどき” 野菜だ。

庭には、ビワや、いちじくや、柿などの木があったが、食べ物が豊富な農家では、それらは食べ物とはみなされていなかった。たまに子供が遊び半分で取って食べるだけで、ほとんどは鳥が食べた。そんな果物が、今はスーパーで立派な値段がついた高級果物になっているのが不思議に感じる。

漬け物も今昔の差が大きい。たくあんなど、もちろん自家製で、ぬか漬けしただけのシンプルな味で、素材の旨さが生きている。今は店でそんな漬け物を探すが見つからない。妙に味付けしたり、着色したものばかりだ。そんなのを買ってしまって、食べずに捨てることがしょっちゅうだ。日本漬物協会という業界団体があるそうだが、その人たちは、本当の漬け物の味を知らないのだろう。


2026年1月22日木曜日

「視覚の法則」

 Gestalt Psychology

「視覚の法則」という本は、人間がものの形を見た時、それをどう認識するかという「視覚心理学」のバイブルのような本だ。様々な事例をあげているが、一例を挙げるとこの図がある。

3つの円の一部が欠けていて、3つの直線が途切れている。いずれも不完全な形だ。しかしこれを見た時人間は、中央に目に見えない三角形があって、それに丸と線の図形が隠れていると感じる。

つまり、丸も直線もバラバラで不完全であるが、それらをまとまった一つのものとして見る性質が人間にはある。


同様な例として、こんな図も出てくる。右図のような図を見た時、人はどういう形として認識するかという問題だ。当然、下図の左のように、二つの円が交差していると見る。右図のようにバラバラな3つの形には見ない。左の方が、線が連続した、まとまりのある形だからだ。


最近、日本の二つの政党がくっついて、一つになり、そのロゴマークが発表された。このデザインを上記のことに照らして見ると面白い。

そのマークは右のようなデザインで、上記の二つの円の交差に該当している。この特徴は、二つの円のずれ方が少ないことと、円が重なっていない部分が青に着色されていることだ。だから重なり部分よりも、二つの三日月形の部分が強調されている。つまり上の図の右側のバラバラの円の見え方になっている。

発表によれば、今まで政策がかなりズレていた2党が歩みよって、共通の「中道」を目指すということだ。しかしこのデザインでは、共通部分よりも元の二つのバラバラの形ばかりが見えてしまう。これでは二つの党がくっつくことで、今までとは違う新しい共通の理念が生まれるということが伝わってこない。

2026年1月21日水曜日

見つめる眼差し ミロとクレー

Pareidoria Phenomenon  Milo & Klee

二つの丸を横に並べると、それだけで人間や動物の眼だと感じる。草むらに隠れている恐ろしい敵をいち早く察知して身を守るために人類が身につけた能力だ。心理学でこれは「パレイドリア現象」と呼ばれる。絵画にもそれがある。


ミロの「星座シリーズ」の 23 点は、1941 年にナチスドイツが侵攻してきたパリを逃れて、スペインで制作された。不安から逃避し、希望と自由を求める気持ちを表しているといわれている。たくさんの小さい記号的な図形が並んでいるなかで、左下の寒色部分には怪獣的なものがいて、矢印の方へ攻め込んでいる。そして左上の暖色部分にある横に並んだ二つの丸が人間に見える。これは怪獣を見つめるミロ自身の不安な眼だ。


クレーに「ヴェネチアの小部屋」というパステル画がある。ヒトラーが政権を握った 1933 年の作品で、ドイツから逃れようとしていた頃に描かれた。ヴェネチアに滞在した一夜の思い出を描いたもので、カーテンを開けて窓から外を眺める二つの丸がある。不安でありながらひと時の安らぎを感じているクレー自身の眼差しを表している。



2026年1月20日火曜日

隠れた眼を認識する

 

蝶の擬態のひとつに「眼状紋」という模様がある。天敵の鳥から身を守るためだ。鳥は横に並んだ二つの円を見ると、動物だと思ってパニックになるという。それを蝶は利用している。

鳥と同じく人間も、二つの円を横に並べた図形を見れば、人や動物だと感じる。人間は長い間の進化を経て、たくさんの能力を身につけたが、そのひとつが「かたちを認識すること」だった。人類が森林生活から草原生活へと変化したとき、草むらに隠れた恐ろしい敵に出会う確率が高い。そこで敵を素早く察知する能力が発達した。敵の形を認識できれば素早く逃げるなどの危機対応ができる。

動物学者のヒュー・B・コットという人がやった面白い実験がある。様々な抽象的な形の中に眼を模した二重円を置く実験で、自然のなかでいかに目玉が目立つかを立証した。特に二重円を二つ並べると薮に潜む動物の存在を感じる。


2026年1月19日月曜日

政党のロゴマーク

Logo-Mark 

ロゴマークは企業などの経営理念を視覚化するための視覚言語だが、ネット時代の今、政党でも政党の理念を表現するものとして重要になっている。


選挙直前の今、二つの党が合併したようだが、二つがくっついて何をしたいのか、その理念が伝わってこない。多分そんなものはないのだろう。それはロゴマークに現れている。二つの円が、少しずれながら重なっている。重なっていない部分が青色になっているが、重なった中央部分は白い空白だ。この政党名は「中道ナントカ」だそうだが、これでは「中道」ではなく「空洞」だ。


対するもうひとつの政党のロゴマークはこれ。「みんな仲良く元気よく」的で、政党としての政治的メッセージ性が何もない。保育園か何かのロゴマークのようだ。とがったことなど何もしないで、みんなに愛されていたい「保守」政党の性格がよく表現されている。





政党のロゴマークとして史上最も成功したのが、ドイツ労働者党(ナチス)の「ハーケンクロイツ」だった。もともと鉤十字は、「まんじ」と呼ばれ、古くから幸せのシンボルとして世界中で使われてきた。日本でもお寺のマークが「卍」だ。それはハネ部分が左向きだった。それをヒトラーは逆むきの右むきのハネにした。右むきの鉤十字は、反ユダヤ主義的なオカルト組織で人気のシンボルだった。ヒトラーはそれを自分の政党のロゴマークに使うことで、排他的なドイツ民族至上主義の政治メッセージをはっきり打ち出した。(これについて、松田行正「RED ヒトラーのデザイン」に詳しい)

2026年1月18日日曜日

「水」の形

 WATER

「かたちと人類」に「流水」という面白い項目がある。様々な地域の人々が「水」というものにどのように接してきたかが、絵文字の形によってわかるという。


上図右のギザギザは、古代エジプトの「水」を表す絵文字。毎年ナイル川の氾濫に苦慮していた人々は川の水位を常に気にしていた。だから「水」といえば、水位を表す、水を横から見た形になった。

上図中は、中国の亀甲文字の「水」で、現在の漢字の「水」のもとになった文字。山の多い中国なので、山の上から見た川の形からきている。岩の間をうねって流れる水の動きを表している。

上図左は、古代アステカの「水」の絵文字。山しかないアステカでは、水といえば川から「汲む」ものであり、カメに入った水を横から見ている図になった。


その上で同書は、日本の「水」に言及している。絵文字ではないが、日本の文様から日本人の「水」の捉えかたがわかるという。それは、「水」とはつねに動いているもの、流れているものということ。文様には、波の形、波紋の形、さざ波の形、雨の形、などの水の動きをパターン化して「水」を表現している。