Post-Modern Architecture
前回、映画との関連で、大阪の「キリンプラザ大阪」について書いたが、東京にもビール会社の建築「スーパードライホール」がある。「大阪のキリン」対「東京のアサヒ」 のビール対決のかっこうだ。浅草に行くと、川向こうの金色に輝くウンコのオブジェが嫌でも目に入る。この「スーパードライホール」は崔洋一監督の映画「月はどっちに出ている」に登場した。主人公の方向音痴の新人タクシードラバーが迷子になって会社に電話する。東京タワーなどのランドマークが見える方向を伝えて自分の居場所を教えてもらう。そのランドマークのひとつが「スーパードライホール」だった。
映画には、タクシー運転手が在日朝鮮人であるほか、多様な国の人たちが登場し、それぞれが勝手な生き方をしている、混沌としたイメージの映画だ。そして彼らの住む東京も無秩序で混沌の都市だ。だから主人公のタクシー運転手は方向を見失ってしまう。道がわからないだけでなく、人生においても自分の居場所がよく見えず、どういう道を生きるべきかに不安を抱いている。映画はそういう現代の人間の姿を描いている。「スーパードライホール」は、その混沌とした東京のシンボルとして登場する。設計はフランスの建築家フィリップ・スタルクだ。このビルは、合理性を追求するモダニズム建築を否定する「ポストモダニズム建築」の典型だ。ビルの形はビールジョッキを模していて、屋上にはビールの泡が乗っている。そしてウンコのオブジェだ。目立つだけが目的の空虚なキッチュ建築だ。