2020年1月29日水曜日

映画「彼らは生きていた」

「They Shall Not Grow Old」

「これは凄い! ともかく見てほしい 」という新聞の映画評が大当たりで、本当に凄い。

第一次世界大戦の記録映像フィルムを編集して、一本のドキュメンタリー映画にしている。デジタル修復でカラー化し、音声や効果音も加えている。昨日撮ったばかりのようなリアルな映像が、1 0 0 年前に死んだ兵士たちを生き返らせている(=「彼らは生きていた」)。

人類史上初の殲滅戦の凄惨さが強烈だが、戦闘シーンだけの映画ではない。出征する時のお祭り騒ぎと、帰還した兵士への冷たい扱い、など戦争というものの「実態」をあばいている。

(渋谷、シアター・イメージフォーラム)

2020年1月27日月曜日

「未来と芸術展」にあったビデオ作品

「Future and the Arts    AI, Robotics, Cities, Life」

「未来と芸術展」でもう一つ注意を引かれたのは、ビデオ映像の出展物だった。ある A I のアルゴリズムが結果的に5人の人間を殺してしまい、 A I が被告として裁判にかけられる。A I が有罪か無罪かを陪審員たちが議論する、という架空ドラマだ。この場面の字幕のように、A I が「感情を理解したり、善悪の判断能力があるかどうか」が議論の焦点になる。


ロボットが人間と敵対するというS F 映画は無数にあるが、このビデオはそれと共通したところがある。歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリは、「今日の S F 映画の罪は、ロボットやA I が人間と戦争するのではないかという過剰な心配を抱かせることだが、それは知能と意識を混同しているからだ。」と言っている。このビデオの場合でいうと、A I は憎しみや怒りといった「意識」で人を殺したのではなく、学習した「知能」によって論理的な判断をして殺しただけ、ということになる。

だからハラリは「恐れるべきはA I ではなく、A I によって強力な力を持った少数の人間である。」と強調する。ハラリ自身は言っていないが、どこかの独裁国家がビッグデータによる高度なA I を使って、国民を監視する超管理社会を作るのではないか、といった最近の報道のことを思いだす。

2020年1月25日土曜日

「ハマスホイとデンマーク絵画」展

Vilhelm Hammershoi and Danish Painting of the 19th Century

12 年前に初めて見て衝撃的だったハマスホイがまた来た。(東京都美術館、~ 3 / 26 )その室内画は、無人のがらんとした部屋で、静まりかえっている。人がいても彫像のような後ろ姿で、部屋に生活があることを感じさせない。絵から物語性や情緒性を排除して、ひたすら室内の空間だけを描いている。右の場合、額縁・壁・家具の垂直水平の直線で画面を構成しているが、そのプロポーション感覚が鋭い。

下では、4つの部屋が描かれているが、ドアがすべて開いていて、空間が奥へ向かって繋がっている。引越しの荷物を積み出して、これから家を出て行こうとしているかのような、家具も人もいない部屋だが、純粋な画面構成を邪魔するものを削除している。なお中央のドア上部が歪んでいるのは何故なのか謎だったが、今回解説があり、キャンバスの張りムラが原因とのこと。


2020年1月23日木曜日

N D フィルターのテスト その2

N D  Filter

空と水の青さが濃く、ビルのハイライトが強い。N D フィルターの特徴。

逆光の風景。人物の衣服がつぶれ、完全なシルエットになった。
路面の影もくっきりしている。ちょっと絵画的。

 2分の1秒のスロー・シャッターで撮った。自動車は消え、横断歩道の歩行者だけがわずかに幽霊のように写っている。もっとスローにすれば、昼間なのに完全に無人の街を撮れる。フィルター無しでこれをやったら、露出オーバーで画面が真っ白になってしまう。

2020年1月21日火曜日

「未来と芸術展」の ”デッサン・マシン”

「Future and the Arts    AI, Robotics, Cities, Life」

A I 、ロボット工学、バイオ技術など最新のテクノロジーを使った芸術によって、未来の人間像、社会像を描くという、話題性いっぱいの企画展。(森美術館、~ 3 / 29 )


デッサンするマシンが面白かった。来場者をモデルにして、カメラで見た画像を解析して、ロボットアームがボールペンで描く。デッサンのやり方を学習させた A I が描いているわけだが、そこらの素人よりずっとうまい。
まだ人間が描く素描に近付こうとしている段階だが、やがては、うまさの基準そのものを変えてしまうような、 A I でしか描けない作品を描くようになるのかもしれない。卓球ロボットが人間より強くなり、囲碁・将棋の A I がプロより強くなった昨今だからあり得るだろう。


もっとも巨匠の素描は、ただの描写ではなく、主観性に溢れているから、そこまでいくのかどうか? ちなみに「A I を恐れる人は、知能と意識を混同している」という。卓球・囲碁・将棋はルールがあるから「知能」で勝負できるが、ルールがなく、「意識」が問題の絵画は違うのだろう。逆にいうと「絵画の技法」や「上手な絵の描き方」といった ”ルール” を学ぶのでは、 A I が学習するのと同じだから、人間は勝てないのかもしれない。

2020年1月19日日曜日

N D フィルターを試す

N D  Filter

N D フィルターを買って、初めての使用テストをした。サングラスをかけて見る風景と同じように写る。撮影モードのオートを解除して、絞りとシャタースピードを手動で設定する。その設定の仕方で写り方ががらっと変わる。慣れると面白い写真が撮れそうだ。

明暗のコントラストが強くなる。うっすらした雲なのに
暗雲立ちこめる空になり、逆に日の当たった家がくっきりと明るい。

明部が白とびせず、空の青さがしっかりと出る。そのかわり、
真っ白い建物が夕日を浴びたようにオレンジになった。

2020年1月17日金曜日

萌えない工場の絵



「工場萌え」をやっていたら、ちょっと壊れかけた、あまり萌えないセメント工場があった。それで「昔の光、今いずこ・・」の「荒城の月」ならぬ「工場の月」に。
( アクリル、F 50 )

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