2017年12月19日火曜日

製鉄工場(ファイナル)

Iron Works

中学生の時、学校から川崎製鉄の工場を見学に行ったことがあった。説明の人が、煙が白いのは排出ガスの浄化が完全だからですと言っていたのを今でも覚えている。まだ環境問題など騒がれていない時代で、製鉄が日本をひっぱる先端産業だったことのあらわれだと思う。それから60年後の今、「産業の米」は鉄から半導体に移り、製鉄は産業の主役でなくなった。この工場はもと日本鋼管だが、生き残りのために、その川崎製鉄と合併して JFE という会社になった。今の銀ピカの半導体工場などと違って、こういう煙を出して黒ずんだ昔ながらの工場は数少なくなった。威容を誇ってはいるが遺されたもの感の強い工場の遺跡的なイメージを描いてみた。

"Remains"   Pastel,  Primed with pumice on board,  100cm × 80cm

2017年12月16日土曜日

山奥の貯水池

Reservoir

ニセコの山中を走っていたら小さな貯水池に出会った。人気がなく静まりかえっている。

Soft pastel on Canson paper,  53cm × 40cm

2017年12月13日水曜日

冬の小樽

Winter canal morning

運河も凍っているものすごく寒い早朝、暖かい朝日が射し始めた。

Soft Pastel,  Canson Paper,  90cm × 65cm

2017年12月10日日曜日

「作家はウソで真実を語る」

Artists use lies to tell the truth

ある映画を見ていたら「作家はウソで真実を語る」というセリフが出てきた。シンプルに核心をついた言い方で感心した。同様に「映画監督はウソで真実を語る」とか「画家はウソで真実を語る」とも言い替えられると思う。「リアリティ」は本当らしさだが、ありのままをその通りに描けば本当らしくなるとは限らず、逆にウソが必要ということだろう。

例えば、普通 SF は100% ウソだが、いい SF は普段見えていない現実をウソを通して見せてくれる。ノーベル賞のカズオ・イシグロの「私を離さないで」は一応 SF に分類されているが SF という感じがしないのはウソが高度だからだろう。

映画化された「私を離さないで」にこんな印象的なシーンがあった。特殊な施設で育ったこの若者たちは普通の社会経験がない。初めて入ったカフェで「ご注文は?」と聞かれて固まってしまう。"純粋培養"された若者たちの悲しさがリアルに表現されていた。イシグロのこの作品は、誰もが決められた運命のもとで生きているにすぎない(真実)ことを語るために、この特殊な若者たちをメタファー(ウソ)として使っている。

2017年12月7日木曜日

映画「婚約者の友人」

Movie  "Franz"

第一次大戦の終戦直後、敵国だったフランスの青年がドイツの女性の前に突然現れる。なぜか?から始まるサスペンスタッチの映画。戦争の犠牲とその赦しが主題の映画(独仏共同制作)で予想以上に面白くミニシアターだけの上映はもったいない。

マネの絵「自殺」がストーリーの重要なキーになっている。(ピストル自殺した男の絵だがマネの作品としてはあまり有名ではない)ラストシーンの主人公の女性がルーブル美術館でこの絵を見ている場面で白黒だった画面が初めてカラーになる。そして「この絵を見ると生きる勇気が湧いてくる」とつぶやく。自殺の絵を見て生きたいとはなぜか?  の説明は控える。


2017年12月4日月曜日

国際パステル画家招待展 @台北

2017  International Pastel Artists Invitational Exhibition

台北で開催されている国際パステル画家招待展に今年も出品させていただいた。現地へ見に行けないが、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなどから 90作の出展があったそうだ。

Total 90 Works(From 16 Countries)
USA (32),  Taiwan (32),  Spain (7),  France (3),  Singapore (3),  Japan (2),  Others (10)

全作品がのっているポスター。(よく見たら3段目の右から2つめに自分のがある)

展示準備中の日本からの2作。左が拙作。(写真:Yuji Sakuma 氏)

2017年12月1日金曜日

空気遠近法のように遠景がきれいな日

A day of aerial perspective

おとといは秋なのに暖かくて湿度が高い珍しい日だった。空気がもやっていので富士山は見えない代わりに、空気遠近法の見本のように遠景がきれいにぼやけている。