「Killers of the Flower Moon」
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2023年10月29日日曜日
映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のアメリカ先住民
2023年10月27日金曜日
映画「マンダレイ」が描くアメリカ
「Manderlay」
ラース・フォン・トリアー監督の作品のなかで「マンダレイ」(「Manderlay」 2005年)が強烈で、アメリカの「民主主義」の矛盾を鋭く描いている。主人公の若い女性がアメリカ南部の小さい村にやってくるが、そこでは何十年も前に廃止された奴隷制度がいまだに生き残っている。黒人をはりつけにしてムチで打つリンチも行われている。女性は、人種差別に憤り「民主主義」を人々に教え込む。やがて村人たちは集まって議論し、多数決によって物事を決めるようになる。彼らは共同体意識を持ち、助け合うようになる。そして彼女は村人たちを指導するリーダーになる。・・・・・
しかしそう見えただけで、やがて真実があらわになってくる。黒人たちは ”民主的な” 村の中で自分の役割を演じることで身を守ろうとしていただけだった。黒人は白人に支配されていることに何百年にもわたって慣らされてきて、つねに支配されていないと安心できない。だから、自分たちを支配する白人として、主人公の女性をリーダーにして、彼女を「法律」と呼んでいたのだ・・・・・
そして彼女も、理性的だと思っている自分の心の奥の奥では黒人に対する憎しみが潜んでいることを自身も気がついていない。やがてそれが暴きだされる。差別をなくすことを説いてきた彼女がラストで、はりつけにされた黒人を、憎悪をむきだしにして、狂ったようにムチで打ち続ける・・・・・
2023年10月25日水曜日
映画「ザ・クリエーター/創造者」
「The Creator」
公開中の「ザ・クリエーター/創造者」は、A.I. が人間を超えるのではないかという、最近人々が 抱いている不安や恐れをベースにしたタイムリーな映画だ。
アンドロイドが人間と対立するというテーマの S F 映画は、名作「ブレードランナー」をはじめたくさんあるが、これはもっとスケールが大きい。 A.I. 化したアンドロイドが人間以上の能力を持ち、 A.I. 文明を築いて、人類文明にチャレンジするというストーリーだ。
A.I. による核攻撃でロサンジェルスが壊滅されてしまい、報復としてアメリカが A.I. と戦争を始める。( 明らかに、9.11. の報復としてアメリカがイラク戦争を始めたことを下敷きにしている。)そして A.I. が、中国などの東アジア全域を制覇しているという設定で、映画は中国や日本など東アジアが舞台になっている。 A.I. への不安を、アジアの台頭が脅威だと感じている欧米人の不安に重ねている。
すべてのA.I. アンドロイドの耳の部分に埋め込まれているヘッドフォンのようなものは、A.I. の頭脳をつかさどる中枢部品だが、ソニー製品ファンのギャレス・エドワーズ監督が 80 年代の初期ウォークマンのヘッドフォンをモチーフにしてデザインしたという。それ以外にも、渡辺謙を A.I. 軍の司令官にしたり、未来の東京を好意的に描いたりしていて、監督の日本愛がうかがえる。(「ブレードランナー」では、未来の東京を退廃した街として描いていた。)
2023年10月23日月曜日
ある中学生のデッサン力
Drawing
中学生の孫が ぬいぐるみ の鉛筆デッサンをしたが、うまくて驚いた。へたな大人顔負けだ。美術部で毎日デッサンの練習をしているようだ。
その子が数年前の小学生の頃に描いた同じ ぬいぐるみ の絵と比べると違いがよくわかる。上の絵がモチーフを「立体」として捉えようとしているのに対して、こちらは形を「輪郭」で見ているから平面的だ。また、素材の毛並みや服の柄などを一生懸命描こうとしていて、物の表面ばかりに注意が向いていている。
ワイングラスのデッサンで、ガラスの反射などをよく観察しているのがわかる。しかし遠近法的な狂いが少しある。そこで狂いをチェックするのに補助線を入れてみるといい、とアドバイスした。回転中心軸と3つの楕円の長軸の線を入れると、すぐに一番上の楕円と底部の楕円の長軸が傾いていることに気がついた。これを続けると、目で見ただけで狂いに気づくようになるものだ。
さらに、3つの楕円の丸みの「関係性」に注意するといいと言うと、しばらく考えて、グラス上端の楕円は丸すぎると気がついた。そして楕円の「関係性」とはこういうことでしょと下の図を描いた。例えばグラスを目の高さに持ち上げて見ると、目の高さでは楕円が薄くなり、上下に離れると楕円が丸っこくなると”解説”をしてくれた。円の遠近法を完全に理解している。
2023年10月21日土曜日
「空」と「雲」の遠近法
Aerial Perspective & Linear Perspective
青空の青は、遠くの地平線に近ずくほど色が薄くなり、白に近ずいていく。これは「空気遠近法」の原理による。雲も頭の上では明暗のコントラストがはっきりしていても、遠くではだんだん白っぽく霞んでいくが、これも「空気遠近法」。
さらに雲は、頭の上では丸っぽかった形が、遠くになるにつれてだんだん小さく薄べったくなっていく。これは「線遠近法」の原理による。下はその原理図。
空と雲を雄大に描いたオランダのロイスダールの風景画は、上記の原理に沿っていることがよくわかる。
2023年10月18日水曜日
パステルで描く「空」と「水」
「Skies & Water in Pastel」
パステル画の初心者向け教本「Skies & Water in Pastel」は、「空」と「水」の描き方に特化している。「空はいつも青とは限らない」と、この表紙の絵で説明している。青空の日でも、地平線に近くなるにつれて、青みが消える。「空気遠近法」の効果だ。そして地平線に近いところは大気の影響を受けやすいので、ピンクになったりする。
そういう空の色の変化が、川の水面に反射している。奥の方はピンクになっているが、手前は青なので、頭の上は青空であることがわかる。
しかし一方で、絵はそういう物理的な原理だけで描くものではない。「春満ちる」という題名のこの絵で、春の暖かい「ムード」を強調するために実際以上に空をピンクにしていることをこの本は強調している。
2023年10月16日月曜日
「移動するモダニズム 1920 ~ 1930 」展
「Modernist on the Move 1920 ~ 1930 」
神奈川県立近代美術館(葉山館)で開催中の「移動するモダニズム 1920 ~ 1930 」展が勉強になる。タイトルどうり、ちょうど100 年前の日本のモダニズム絵画が花開いた時代を展望できる。 1920 年 ~ 1930 年の 10 年間は、大正の終わりから昭和の初めにまたがる戦間期だった。
この時代、ヨーロッパでは印象派の時代が終わり、様々なモダニズム絵画の運動が巻き起こったが、日本の画家たちは、その先端芸術を勉強しようと欧州に向かった。この展覧会は、彼らの作品を展示している。
フライヤーの中央に大きく扱われているのは、ドイツで活動した和逹知男という人の「謎」という作品。新聞の切り抜きなどを貼り付ける「コラージュ」の作品だ。(コラージュは特にバウハウスで盛んに行われたが、表現されるメッセージが反体制的だったため、やがてナチスによって弾圧される。)
パリに留学して、シュールリアリズムを学んだ福沢一郎の「よき料理人」。レストランのテーブルの上に椅子が置いてあり、シェフの代わりに客が料理をしている、という無秩序な光景を描いている。客はナイフを研いだり、梨の爆弾に火をつけようとしている。1930 年の作品で、世界情勢が不穏で不安になってきた時代を風刺するような作品だ。