2023年2月3日金曜日

映画「飛ぶ教室」

 「The Flying Classroom」

「飛ぶ教室」は、児童文学の最高傑作である、エーリヒ・ケストナーの原作をほぼ忠実に映画化している。時代を現代に置き換えているので、脚色に若干の違いはあるが、原作者の精神はそのまま引き継いでいる。

前回の投稿で紹介した、原作の「まえがき」の言葉がオープニングの字幕で出てくる。「どうして大人は子供時代のことをすっかり忘れてしまうのだろう。子供というのは時にひどく悲しく不幸になってしまうことを決して忘れて欲しくない。エーリヒ・ケストナー」 主人公は捨て子で、孤児院で育ったが、里親に拾われる。その親は船長で、年に一度しか会えないが、それでも幸福感を感じている。それはケストナー自身の生い立ちなのだが、この字幕の言葉にその思いが込められている。


雪の上の乱闘シーン。ケストナーは「やられたらやられっぱなしはダメだ。勇気と賢さを持ってやり返しなさい」と言っている。(左は原作の挿絵)

校則を破って、夜中に寮から抜け出して外出した子供を叱る先生だが、なぜ外出したか理由を聞く。対抗する他校の子供に仲間が拉致されて、それを救い出すためだった。先生はその説明を聞いて、処罰をしない。友情、正義、正直、の大切さをケストナーは説いている。

最後に、クリスマス学芸会で「飛ぶ教室」が親たちの前で演じられるが、決められた劇ではなく、子供達が勝手に作った自作自演のロックミュージカルを演じてしまう。「それが仲間、本当の友情だ」と歌う。それを見ていた先生は、封印していた若かりし頃の自分に思いをはせる・・・

子供たちだけでなく、親や学校の先生に見てもらいたい映画だ。特に校則で子供たちを縛ろうとする先生には。

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