2020年2月4日火曜日

映画のオープニング・シーン

Opening scene & Establishing shot

ある映画専門サイトに、傑作オープニング・シーンのランキングというのがあり、第1位は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」だった。確かにこのシーンは「絵」として見ても、なかなかうまかった。これから始まるストーリーへのワクワク感を盛り上げている。

ほとんどの映画で、冒頭5分ぐらいの間に、その映画のストーリーが展開する時代・場所・登場人物などの状況設定を説明するシーンがある。こういうオープニングでのショットは「エスタブリッシング・ショット」とよばれる。この絵コンテで、クラシックな車、ハイティーンの若者たち、背景の住宅街、をひとつの構図にまとめている。5 0 年代のカリフォルニアあたりが舞台の青春映画(「アメリカン・グラフィティ」のような)といった設定がこの場面だけで分かる。

ミヒャエル・ハネケ監督はエスタブリッシング・ショットを作らない。「隠された記憶」で、冒頭の 1 0 分位、監視カメラに写った家の映像を延々と流す。何か事件が起こるわけでもなく、その意味は最後までぼんやりしたまま。説明不能の不可解な世界がテーマのハネケ監督にとっては、映画も必然的に「説明しない映画」になる。

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