Chirico and "Doctor Caligari"
キリコの「街の神秘と憂鬱」は自身の心の不安感を描いている。影だけ見えている正体不明の人間の方向へ少女が無邪気に近づいていく。そして右側の建物と左側の建物の消失点が別々になっていて、二つの消失点が画面中央で交錯するねじれた遠近法になっている。それがこの空間を非現実的にしている。同時代の古典的名作映画「カリガリ博士」でも遠近法がねじれたセットを徹底的に使って悪夢のような世界を描いていた。絵画でも映画でも、客観的描写よりも自分の内面を主観的に表現する「表現主義」の時代だった。
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