Viewing distance and Viewing angle, movie and picture
最近は映画館で前の方5列目くらいの席で見ることが多い。かつては後ろの方が普通で、前の方に座るのは満員で仕方のないときくらいだった。映画に入り込んで自分も映像世界の一部になるような感覚を楽しむといった映画が多くなったせいだろう。臨場感重視の映像や、音に囲まれるサラウンドの音響などと、それを助長する大画面ワイドスクリーンのおかげだと思う。
5列目に座っておおざっぱに測ったら、スクリーンの視野角度は 90 度くらいだった。人間の視野角はかなり広いが、色まではっきり見えるのは 70 度くらいと言われている。 だから5列目でみると画面は視界いっぱいか、そこからはみ出るくらいに大きい。映画に没入しやすくなるわけだ。
かつては映画もテレビも 4 : 3 で、アスペクト比は 1.33 だった。それが 16 : 9 のデジタルTVで 1.78 になった。映画はさらに横長で、シネマスコープは 2.35 もある。
絵画のサイズは、F(人物) P(風景) M(海景)の3種類あるが、アスペクト比は、F は 1.16、P は 1.30(アナログ TVくらい)、 M は1.59(デジタル TVくらい)。映画のワイドスクリーン並みの横長サイズは標準サイズとしてはない。
100 号の絵(幅約 1.6 m)を見るとき、映画を5列目で見るのと同じ視野角で見るにはどのくらいの距離になるか計算してみると 1 mくらいになる。写真の一番前の人くらいの近さで、いかに映画は大画面を近くで見ているかがわかる。
絵とは額縁に入れて壁に掛けて見る(観賞する)ものというのが当たり前だが、こうなったのは最近のこと。絵画の長い歴史では、壁画、祭壇画、天井画などのように、人間のほうが絵に囲まれながら見る大画面ワイドスクリーンが普通だった。それは、絵とは「作品」として「鑑賞」するものではなく、宗教や神話の世界へ入り込んでいくための手段だったから。現代の映画と同じように。
0 件のコメント:
コメントを投稿