MOMAT コレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示(国立近代美術館、〜 12 / 13)
ほとんどが3m くらいの巨大サイズで、画面を埋めつくすように兵隊どうしの凄惨な殺し合いが描かれている。こういう大人数の群像の絵はルーブルなどでよく見るが、日本ではあまり無かったと思っていたが、これは戦争という題材のために、藤田が西欧の歴史画から学んで始めたということだ。
その例として解説されていたのが、「アッツ島玉砕」で、これは 16世紀のジュリオ • ロマーノ作「ミルウィウス橋の戦い」という歴史画からヒントを得たものだという。
藤田には猫の絵が多いが、そのなかの猫の集団が争っている「猫 争闘」という絵が、猫の凶悪な表情といい、構図といい、後の彼の戦争画に通じている、という解説がおもしろかった。
戦争画の代表としてよく引き合いに出されるこの絵(鶴田吾郎、「神兵パレンバンに降下す」)のように、勇ましくかっこいい戦闘シーンは戦意高揚という軍部の目的にはぴったりだったのだろうが、今見ると戦争アクション映画のポスターのようだ。対して藤田の作品は戦争という極限状況での人間の醜悪な姿をえぐり出していて、戦争賛美のプロパガンダ絵画に見えない。むしろ反戦絵画のように見える。
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