2018年7月13日金曜日

江ノ電沿いの古い建物「星野写真館」

「De Stijl」like old shop

江ノ電は腰越駅あたりで路面電車になるが。その江ノ電とツーショットで撮ったのが「星野写真館」という店。建物は 1927 年築というから 90 年くらい経つが、いまだに当時と同じく写真館を続けている。

この建物が有名なのは、「看板建築」の名品とされるから。木造の道路面だけを洋風にした商店建築で昭和初期に流行ったが、いまも残っているのは珍しい。

ペンキで描いただけの「看板」が多いなか、これは当時のオランダの芸術運動「デ・スティル」のスタイルをうまくこなして取り入れている。撮影スタジオのある2階側面が全面ガラスなのもそうだが、特にファサードの構成がなかなか。デ・スティルはモンドリアンの抽象絵画の影響を受けていたが、そのことも塔部分の形や丸窓のデザインに反映されている。 (参考「鎌倉近代建築の歴史散歩」)


2018年7月11日水曜日

「パステルカラーの罠」 

"As Long As It's Pink,  The sexual politics of taste"  by Penny Sparke


「パステルカラーの罠、ジェンダーのデザイン史」という本を読んでいるが、著者が女性のデザイン史家で、ジェンダーの視点から近代デザインを見直しているユニークな本。


ある建築家が自宅の窓にヴェネチアン・ブラインドをつけると決めて、カーテンをつけたいという妻の希望を絶対許さない。妻は唯一カーテンを許された子供部屋で涙を流す。というエピソードが冒頭に出てくる。この話を合理性追求の近代デザインが女性文化の趣味性を排除してきたことの象徴としている。


一方で、消費文化の中心が女性になった今、電機製品や自動車でも「女性向け」という商品が多いが、大抵は柔らかい曲線とパステルカラーの色彩、という組み合わせのステレオタイプな「女性好み」のデザインだ。かつてカーテンをつけさせてもらえなかった女性が今では好きなものを選べるように見えて、それは「女性らしさ」を狭い範囲に固定化していると言っている。


台所製品などにパステルカラーの花柄模様をつける時、デザイナー(多くは男性)は商売のために不本意でやるが、女性の消費者は「かわいい!」と言って受け入れてしまう。「パステルカラーの罠」にはまっている。  (写真:日本語訳と原著の表紙)

2018年7月9日月曜日

工場のイメージを探す


引き続き新子安の工場を歩いてイメージを探した。フィルターで加工して印象を強調。







2018年7月7日土曜日

工場の風景を探して


絵の材料になりそうなネタを探して新子安の工場地帯をぶらぶら歩いた。これなどは、そのままでも( Photoshop で若干加工したが )絵になっているような風景。


2018年7月5日木曜日

カッサンドルの豪華客船ポスター

"Normandie" by Cassandre

たまたま通りかかった「横浜みなと博物館」に「豪華客船ノルマンディー」展の看板があったので、カッサンドルのポスターがあるにちがいないと思って入ったら、やはりあって現物を初めてみることができた。アール・デコのグラフィックの代表作としてデザイン史の本に必ずのっている名作。船を正面から見上げる斬新な構図と、幾何的に単純化した形態は強いインパクトがある。

1930 年代、各国の豪華客船の旅客獲得競争が激しかったので、観光ポスターが発展したが、「ノルマンディー号」などのカッサンドルのポスターは大きな影響を与えた。氷川丸などの豪華客船があった日本でも海外向けに作られた観光ポスターはアール・デコのスタイルで、カッサンドルの影響も随所に見られる。
(写真:日本郵船歴史博物館「船をとりまくアール・デコ」より)

2018年7月3日火曜日

古く美しい機械

1918 America made machine for shipbuilding

時々通る所だが、こんなでかい機械が道端にあるのに初めて気がついた。かつてここにあった造船所の機械を動かしていたエアー・コンプレッサーだそうだ。1918 年のアメリカ製というからちょうど 100 年前になる。まさに前世紀の遺物だが、今の時代には消えてしまった迫力の機械美がある。





2018年7月1日日曜日

「ヴァニタス」(空虚)という静物画

 Vanitas

前回書いたが、17世紀のオランダで人生の虚しさや虚栄の無意味さを描く寓意的な静物画が大流行した。頭蓋骨や枯れかけの花など死や空虚の象徴となるものをかき集めて、画面いっぱいに列挙した絵だった。「ヴァニタス」(空虚)という絵のジャンルまででき、現在まで影響を与えてきた。(写真:「芸術の象徴」より)


英国王が斬首された歴史テーマにした絵で、倉庫の中で埃をかぶったガラクタのような王冠やボロボロの本や壊れかけた道具などを使って、権力の虚しさを描いている。

一見無関係な雑多なものが並んでいるが、すべて腐りやすい食べものや枯れやすい花などの束の間の物で、豊かな生活や物の豊富さの「虚栄」を表現している。

頭蓋骨や、時の経過を示す時計や、ボロボロの本などを並べるのはヴァニタスの定番モチーフだった。やがて蜘蛛の巣が張り朽ちていくという、人生のはかなさを描いている。