2023年5月29日月曜日

映画「タクシードライバー」

 「TAXI DRIVER」

4人を殺害した立てこもり事件で、真っ先に「タクシードライバー」が頭に浮かんだ。報じられる犯人のキャラクターが映画の主人公とそっくりだ。友達のいない孤独な主人公は、ヴェトナム帰還兵で、夜勤のタクシードライバーをしている。銃のコレクションが趣味で、4丁(今回の犯人と同じ)の銃の手入れに余念がなく、鏡を見ては自分は強い人間だと自己暗示をかけて自分を鼓舞している。ミリタリールックの服装(今回の犯人も迷彩服だった)をしているのもそのためだ。世直しのためと称して、政治家暗殺を計画するがうまくいかず、なんとか目立つことをしたいという欲求が高まっていく・・・

この映画はスコセッシ監督の 1976 年の作品で、当時のアメリカの世相が強く反映されている。ヴェトナム戦争後の社会は荒んで、犯罪が多発していた。主人公は最後に売春宿で銃乱射をして、犯罪組織の男たちを殺してしまう。しかし市民からは悪をやっつけてくれたとして英雄になってしまう。そして映画は、荒れた社会が生んだ歪んだモンスターが生き残ることになったらアメリカはどんな社会になってしまうのか、という不安を投げかけている。


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