「The Code Breakers」
コロナが始まった頃日本では、ワクチンができるまで3年かかるだろうと言われていたが、アメリカではあっいう間に完成してしまい、今のコロナ収束に貢献した。なぜそんなことができたのか。ジェニファー・ダウドナというノーベル賞を受賞した女性科学者の研究があったからで、「コードブレーカー 生命科学と人類の未来」という本が、その足跡をたどっている。
遺伝子の管理部門である DNA の情報が RNA に転写され、その情報が細胞の製造部門に伝えられ、タンパク質の製造を促す。つまりRNA は情報を運ぶ働きをするから「メッセンジャーRNA」と呼ばれる。今回のコロナのワクチンが「m-RNA」型と呼ばれるが、その「m」は「メッセンジャー」 を指す。
従来型のワクチンは弱毒化したウイルスを体内に注射するが、「m-RNA」型はウイルスの生成を促す RNA を注射することで、抗体を作らせる仕組みになっている。ダウドナは早くから、難病の治療をするために、m-RNA による遺伝子編集の研究をしてきたが、その技術を応用するだけで、コロナワクチンが簡単に出来てしまった。
題名の「The Code Breakers」は、戦争で敵国の暗号をぶち破るというニュアンスだろうが、この本は、遺伝子の暗号を解読していく過程が、サスペンス小説のようにスリリングに書かれていて面白い。
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