2020年9月21日月曜日

静物画の視点

 View point of the still life painting

静物画は伝統的に、ほぼ真横からの視点で描かれていた。モチーフどうしが重なりあうので、全体が連携しあって、緊密感のある絵になる。シャルダンなどはその典型。

1 7 世紀のオランダで例外的に、斜め上からの俯瞰的な視点で描く「朝食画」というのが流行った。このフローリス・ファン・デイクのように、各モチーフが隠れることなく、テーブルの上にばらまかれている。食べ物や高価な食器などを一個ずつ独立して見ることができる。また、絹製の豪華なテーブルクロスがはっきり見えるのもこの視点のおかげだ。

近代になると、斜め上からの視点の方がむしろ多くなってくる。セザンヌとマティスの例だが、写実よりも、モチーフを使って画面を構成する構成主義的な方向性が感じられる。そのための斜め上からの視点なのだろう。


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