Antonio Lopez
超リアリズムのアントニオ・ロペスは都市の風景や室内の情景などを描いたが、7年前の「アントニオ・ロペス展」にこの「新しい冷蔵庫」という絵が出ていた。背景も何もなく、ただ冷蔵庫だけを即物的に描いている。しかしよく見ると、冷蔵斧のドアの幅は異様に広い。ドアを閉めたら、本体からはみ出してしまいそうだ。これは単に遠近法の狂いなのか。調べてみると、ある特殊な(仮想的な)見方をすると、理論的にはありうる見え方であることがわかった。
ドアの上端の回転軌跡を描いてみると、極端に薄べったい楕円になる。たいていの冷蔵庫の上端は目の高さに近いから、これくらい平べったいのは妥当だろう。しかしドア下端の回転軌跡は丸っこくて、楕円どころかほぼ正円になっている。ということは、ドア下端は真上から見ていることになる。つまりこの絵は、冷蔵庫に顔がくっつくくらい近い位置から、冷蔵庫の上から下までの全体を超広角の目で見ていることになる。視野角が上下
1 8 0
度の人などいないから、実際にはあり得ないない見え方だ。
アントニオ・ロペスは、一見リアルに見せかけておきながら、実は視角のトリックをしかけているのかもしれない。
普通の見え方になるように画像を修正してみた。これならドアの幅は広すぎない。回転軌跡を確かめて見ると、ドア下端も楕円になっている。これは冷蔵庫から2mくらい離れたところから見た見え方だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿