2020年4月16日木曜日

文化によって異なるソーシャル・ディスタンス

「The Hidden Dimension」 &  Social Distance

有名な「かくれた次元」(エドワード・T・ホール)で、人が誰かと会うとき、相手との間にとる距離について、4つの距離に分類している。密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離、で、新型コロナのおかげで流行語になった「ソーシャル・ディスタンス」は、このうちの「社会距離」に当たる。

以上はこの間の投稿で書いたことだが、この本ではさらに興味深い話がいろいろ出てくるので、追加したい。それは人との距離感が国や文化によって異なることで、事例をたくさんあげている。

今コロナ対策で、行列に並ぶ時に、「ソーシャル・ディスタンス」をとるよう呼びかけているが、アメリカ人はバス停などで並ぶとき、もともとこのように間隔を空ける習慣があるそうで、これは、体を触れ合うことを避ける習性のある鳥と同じだと指摘している。


一方フランス人は、人との接触をあまり気にしない。この街頭演説を聴く人たちは密集している。カフェなどでも隣とくっつきそうな距離で座っている。これは体を接触しながら休息するセイウチの習性に似ているという。


アメリカの野球を見ていると、監督が審判に抗議するとき、顔をくっつけるくらいに文字通り「詰め寄っている」のをよく見る。完全に「密接距離」だから、つばも飛んでコロナ的にはよくない。同書は、日本は「間」の文化だとして、例に龍安寺の庭をあげている。石を見せるのではなく、石と石の間の空間を意識させるように設計されている。アメリカの野球監督のような光景を日本では見ないのは、「間を置く」文化の表れかもしれない。


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