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2019年8月7日水曜日
ピカソの「朝鮮の虐殺」と「ゲルニカ」&「表現の不自由」展
印象派を引き合いに出すまでもなく、革新的な芸術はいつも、美術館からも大衆からも非難され、「表現の不自由」をこうむってきた。しかし名古屋の「表現の不自由」展の騒動は、もともと政治目的のための作品に対して、逆の立場の人たちも政治目的で批判しているわけだから、芸術表現の問題とは関係のない話だと思う。
ピカソに「朝鮮の虐殺」という絵があるが、あまり知られていないし、はっきり言って傑作とは思えない。朝鮮戦争で米軍が北朝鮮の女性を大量虐殺した事件を題材にしている。共産党員だったピカソは北朝鮮へのシンパシーからこの絵を描いたとされる。絵に政治性を感じるのはそのせいだろう。
同じピカソの「ゲルニカ」は、ナチスドイツのスペイン空爆で、市民を殺戮した事件が題材になっている。その点で「朝鮮の虐殺」と共通しているが、こちらの方は特定の国への非難などいった政治性は感じない。人間の悲劇をもたらす戦争への批判という普遍的な価値へと昇華させている。だから「表現の不自由」問題など起きないし、国や時代を超えて名画として評価されている。
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