台湾出身のアーティスト、リー • ミンウェイ(李明維)の展覧会を観た。一種のインタラクティブ • アートで、作品を介して人と人がインタラクションすることで、「つながり」が生まれる、というコンセプトである。最近、メディア技術やネットワーク技術を応用したインタラクティブ • アートが大流行りだが、みな一様に「つながり」をうたっている。それらは割と簡単な技術で出来てしまうので、情報メディアでつながれば、それが「つながり」だという安易なものが氾濫している。(そういう自分も大学では、それらしきことを研究したりしていたのだが)しかし彼の作品はデジタルを一切使っていない。あくまで「モノ」によるインタラクションにこだわっている。
(上)ブースの中で鑑賞者が誰かに手紙を書き、それを壁に掛けておく。封をしてもいいし、しなくてもいい。宛名を書いても書かなくてもいい。宛名の書いてある手紙はあとで館員が投函してくれる。封をしていない手紙は他の誰かが読むかもしれない。
(上)ブースの中で鑑賞者が誰かに手紙を書き、それを壁に掛けておく。封をしてもいいし、しなくてもいい。宛名を書いても書かなくてもいい。宛名の書いてある手紙はあとで館員が投函してくれる。封をしていない手紙は他の誰かが読むかもしれない。
(下左)飾ってある花を鑑賞者は自由に取って持ち帰っていい。ただし、必ず帰り道に出会った、通りすがりの人にその花をあげて下さい、と説明書きがある。
(下右)並べてある箱を自由に開けて中身を見ることができる。中にはいろんな人の思い出の品が入っていて、見知らぬ持ち主に思いをはせることができる。
これらの作品を見ていて思い出したことがある。以前テレビで紹介されていたのだが、大津波で全滅した岩手県のある町に、「風の電話」というのがあるそうだ。公衆電話ボックスだが、電話線はつながっていない。犠牲になった家族や知人と、「話しをする」ために、ここを訪れる人たちが後をたたないという。電話線(インターネットと言ってもいい)がつながっていなくても「つながる」ことができるあかしで、これらの作品はそんな試みであるように思える。
展覧会の紹介ビデオ(公式サイトより)
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