シド・ミード展が今日(6 / 2)で終わったが、改めて彼が描いてきた時代を振り返ってみた。1960 年代の最初の画集「INNOVATIONS」は US スチールがスポンサーの広報誌的な性格があった。製鉄と鉄の応用製品である自動車の技術革新がもたらす明るい夢の未来を描いていた。(写真は「INNOVATIONS」より)
鉄鉱石の採掘現場を技術者が訪れたシーンだが、
乗ってきた自動車が、1960 年代に描かれたにしては超未来的。
建設現場で働く未来的なトラックをデザインしているが、
スタイルだけでなく、先進技術が盛り込まれている。
夢の自動車のもたらす豊かな生活シーンを描いているが、
この形を可能にするのは鉄板の生産技術の革新による、と説明されている。
しかしその後、自動車は環境問題や都市問題の元凶とされ、夢の存在ではなくなっていった。その象徴が映画「ブレードランナー」で、シド・ミードが描いたのは、酸性雨の降りしきる、頽廃的で終末的な暗い雰囲気の都会を走るパトカーだった。自動車が輝かしかった時代は終わってしまった。(写真は「Oblagon」より)
「INNOVATIONS」から 50 年経った今、製鉄産業のピッツバーグも自動車産業のデトロイトも「ラスト・ベルト」と呼ばれる "錆びた地域" になってしまった。それをトランプ大統領が関税を武器にして復興しようとやっきになっている。
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