2019年6月16日日曜日

「江戸の凸凹」展と、広重が描く坂道

Exhibition "Walking the hills and valleys of Edo"

「 江戸の凸凹   - 高低差を歩く- 」展が面白い。東京は丘陵や低地などの高低差が随所にある都市だが、その風景の特徴を描いた広重の絵ばかり数十点を集めている。(太田記念美術館、~ 6 / 26 )

高台・崖・渓谷・川・坂道、などのモチーフが多いが、その中で坂道がどう描かれているかを見てみた。浮世絵の坂の見方がわかって面白い。
遠景の坂道
手前の大きいい崖のおかげで、遠くにある坂道の距離感を強めている。ちなみに近景に大きく何かを描くのは「近像型構図」と呼ばれ、浮世絵が洋画に影響を与えた特徴の一つだった。
横から見る坂道
自身も坂の途中にいるが、視線は横を向いていて、坂道を通る人たちを描いている。透視図的でなく、いわば投影図的に坂を描いているから、遠近法なしでも坂道の傾きを表現できる。
見えない坂道
高低差のある地形を高台から見ている。坂道(階段)そのものは見えていないが、後から登ってくる人の頭だけを描いて、急勾配の坂を暗示しているのがしゃれている。
見通す坂道
建物の土台が道路と平行でないことから坂道であることがわかる。しかし建物の消失点に対する意識がないので坂道感が弱い。





上のような、向こうへ続く坂道を見通す構図は、浮世絵ではあまり多くないようだ。洋画ではそれが普通だが、それで坂道を表現できるのは遠近法のおかげ。(図は「How To Use Creative Pespective」より)


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