「カラーズ、消えた天使の街」という「警察もの」の B 級映画を観ていたら、ワッツ • タワーが登場していたので、この塔を見に行ったときのことを思い出した。「ワッツ • タワー」はロサンジェルスの「ワッツ」というロスでも治安が最悪の地区にある建築物だが、映画は、その地域に巣くうギャングやチンピラたちと警察との闘いの物語だ。
かつて、ワッツ • タワーを見に行くと言ったら、忠告された。車から絶対に外へ出ないこと、運転中も車の窓は閉めてドアは内側からロックをしておくようように、でないと信号待ちのときなにが起るか分からないからと。で、着いても車を止めることもなく、横目で見ながら通り過ぎるだけだった。映画でもこのあたりのそんな危ない雰囲気がたっぷり描かれている。
「ワッツ • タワー」はこの地区に住んでいたサイモン • ロディアという無名の建設労働者が自宅の庭に一人でこつこつと 30 年以上かけて作った塔で、重機や足場など使わず、もちろん設計図面もなく、すべて手作りで完成させた。これを見ると誰でもガウディの「サグラダ • ファミリア」を連想すると思う。形も似ているが、ミクロのディテールをひとつひとつ積み上げていって最終的に巨大なものを作りあげるという、ちょっと気ちがいじみた執念を感じさせる点でも共通性がある。出来立てのころは、価値の分からなかった市当局が撤去しようとしたこともあったそうだが、建築家などの反対で、取り壊しは止めになり、現在は国定歴史建造物に指定されている。映画ではカーチェイスの車が激突して粉々に砕けてしまうが、もちろんこれは CG 映像で、本物は健在だ。
制作中の様子を記録した約 60 年前の貴重な映像
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