Michelin Green Guide
一度だけ JTB かなにかのバスツアーを利用したことがあった。目的地へ着くまでバスガイドのおねーさんが喋りまくる。昨日のテレビ番組がどうのこうのとか、唄を歌ったりとかうるさくてしょうがない。ところが、目的地に着いた時、「この場所について私はよく知りませんからガイドブックかなにかで調べてください」と言ったのにはびっくり仰天した。それ以後バスツアーは一度も利用していない。
ヨーロッパでバスツアーに乗ったことがあったが、バスガイドが喋ることはない。彼女は単なる「車掌」だ。目的地に近づいた時に、大学生のガイドが乗ってきて、その観光スポットの見どころや、背景の歴史・文化など専門的なことまで詳しい説明をする。
このような「観光」に対する考え方の違いは、日本の観光ガイドブックにも現れている。ほとんど”インスタ映え”する場所を教えるだけの内容で、観光客の方もそれに従って、みんなが同じ場所で同じ写真を撮っただけで大満足して帰る。
「ミシュラン」は、レストランの格付けガイドとして有名だが、もともとは観光ガイドブックから出発している。空港や駅に着くと、まずその土地の「ミシュラン・グリーンガイド」を買う。売店にずらっと並んでいる緑色の表紙が目立つ。バスガイドと同じように、徹底的な現地調査をもとにした、深く突っ込んだ内容で、ネットの口コミ情報などを編集しただけの「るるぶ」などとは大違いだ。余談だが、江戸時代も旅行ブームで、ガイド付きのツアー旅行も盛んだったそうだ。そのニーズから全国各地の旅行ガイドブックが出版された。それが「〜名所図絵」だが、その中のひとつにこんな絵がのっている。ガイドが風景の説明をしているのに、そっちのけでガイドブックばかりを見ている旅行客を皮肉っている。SNS にのっている写真を見ながら、なるほどそれと同じだ風景だと満足している現代の観光客と同じなのが面白い。
江ノ電の鎌倉高校駅前の踏切をときどき通るが、必ずこんな光景が見られる。何かのアニメに登場した場所で ”聖地” になっているとかで迷惑行為が絶えない。いわゆる「オーバーツーリズム」で、「旅行業界」や「観光業界」が SNS を使って客を呼びこんでいることの弊害だが、そろそろ「観光」のあり方を見直してほしいものだ。
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