2019年7月7日日曜日

江戸時代の展望台とパノラマ風景画

Turret view of  Edo period

この間の「江戸の凸凹」展に、北斎の「五百羅漢寺」があった。昔は、どこの高台でも富士山が見えたから、そんな場所の展望台は、観光客の人気スポットだった。

一点透視で描かれているが、建物の垂直水平を強調した2次元的な構図なのが浮世絵らしい。風景の遠近感や展望台の高さ感などの3次元的な空間感がない。

円山応挙の、寺から京都市街を遠望している絵。これも一点透視だが、北斎と違い、建物のスケール感や、風景の距離感がある。完全に西洋絵画と同じ視覚だ。

当時、西洋から入ってきた「覗目鏡」は、レンズと鏡を通して箱の中の絵を覗く仕掛けだった。それ用の絵が浮絵で、浮き出てくるようなリアルさを出すために、西洋的な遠近法で描かれた。

もっとすごいのは、同じく円山応挙の「清水寺」の浮絵で、実際の清水寺とは違い、展望台の高さや、パノラマ感が極端に強調されいる。こんな構図の絵が日本にあったとは驚く。

以上、タイモン・スクリーチ著「大江戸視覚革命」による。(イギリス人の日本美術史研究家で、今まで知っている常識とはまったく違う切り口で切りまくっている。)

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