2025年4月9日水曜日

AI 絵画

AI  Painting

日経新聞( 3 / 22 )の文化欄に興味深い記事があった。  AI に絵を描かせる実験の話だ。


記事が紹介している実験は、人間が指示する代わりに、ネズミの脳波を生成 AI に入力して描かせたというもの。その結果、上の写真の女性の顔が描かれたそうだ。だからこの絵には人間の創意は介在していない。人間の関与がないところがポイントで、生成 AI が独自に創作物を生み出す第一歩だとしている。

そしてこの絵がちょっと薄気味悪い感じがするように、将来的には AI が、人間が予期しないものや意味不明なものを表現するように発展するかもしれないと言っている。その時、人間が作れなかった新しい感興を AI が生み出すことになるかもしれないという期待を込めている。


人間が介在しない AI が今までにない新しい美を生み出すだろうという考えだがはたしてそうか?  AI がなかった過去にも「オートマティズム」と呼ばれる人間の介在しない(または介在の度合いが少ない)絵画があった。代表的なのは「フロッタージュ」で、シュールリアリズムのマックス・エルンストが始めた技法だ。物の上に紙を乗せてこすることで凸凹を写しとる。こすった結果、何が現れるかは偶然性に任せている。だから、自動的に描くという意味で「オートマティズム」と呼ばれる。つまり、記事が言っている「人間が予期しないものや意味不明なものを表現する」ことを AI でなく、すでに人間がやっている。だからAI は、現代版「オートマティズム」のための新しい道具にはなるかもしれないが、それ以上のものになるとは思えない。

暗く不気味な森を描いたエルンストの「森と鳩」(1925 年)は、「フロッタージュ」を使った最初の作品。下はその部分拡大。


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