上野へ「カラヴァッジョ展」(国立西洋美術館、〜 6 / 12 )を観に行った。やはりすごい。そのあと DVD で映画「カラヴァッジョ/天才画家の光と影」を鑑賞。絵の制作シーンがたくさん出てくる。それが史実通りなのか映画用の創作なのかは分からないが、実物の絵を見た後ではとても本当らしく感じる。
最高傑作といわれる「聖マタイの召命」(写真右)の場面も出てくるが、この強烈な光と影の対比が生まれたエピソードが面白い。アトリエで描いているうちに寝入ってしまい、明け方ふと目をさますと、窓から差し込んだ光が絵に当たっているのを見てその劇的な効果にびっくり仰天する(写真下)。そしてその光をそのまま絵に描きこんでしまい、この絵が生まれたというストーリーだが、とても映像的なこの絵からするとありそうな話だと思える。
それで調べてみたら、この絵は上の写真の教会の中に飾られているそうで、祭壇を囲む3面の絵のうちの左側の絵がそれ。これで気がつくのは、上の天窓からの光の方向が絵に描かれた光の方向とぴったり一致していて、先の映画のシーンでの関係と同じだ。カラヴァッジョはこの教会の建築空間と絵が一体化するように初めから計算して描いたのではないか。あの光と影の表現も、この空間のほの暗さを利用して、その中から絵がドラマチックに浮かびあがることをねらったものなのだろう。
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